最新ワクチンでなければコロナ重症化は予防できない? 米国医師会の内科専門誌に論文

AI要約

新型コロナウイルスのXBB系統に対応したワクチンの効果が調査された研究が米国で行われ、その結果が発表された。

接種を受けた人では入院リスクが62%も低下し、新しい流行株に対応したワクチン接種の推奨が強調された。

従来のウイルス株対応ワクチンについては、過去の接種回数に関係なく入院リスクの低下はみられなかった。

最新ワクチンでなければコロナ重症化は予防できない? 米国医師会の内科専門誌に論文

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 新型コロナウイルスは世界各地で独自の変異を繰り返した結果、さまざまな変異株が報告されています。2023年から24年の初頭にかけて、同ウイルスの主流株はオミクロン変異株の派生型であるXBB系統でした。そのため、23年秋冬の接種において用いられた新型コロナウイルスワクチンも、XBB.1系統に対応していました。

 一方、XBB対応ワクチンの有効性を検討した質の高い研究データは限られており、従来のウイルス株に対応したワクチンと比べて優れた予防効果を期待できるのかについて、議論の余地も残されていました。そのような中、新型コロナウイルス感染症による入院リスクに対するXBBワクチンの効果を検討した研究論文が、米国医師会の内科専門誌に、24年6月24日付で掲載されました。

 米国で行われたこの研究では、新型コロナウイルスの検査で陽性を認めた入院患者2854人と、検査で陰性だったものの、咳や発熱、咽頭痛など、呼吸器感染症の症状で入院した1万5345人が対象となりました。研究参加者に対して、新型コロナウイルスワクチンの接種状況を調査し、入院リスクとの関連性が検討されています。なお、研究結果に影響を与え得る年齢や性別、治療中の病気の有無などの因子について、統計的な補正が行われています。

 その結果、XBBワクチンを接種していた人では、同ワクチンを接種していない場合と比較して新型コロナウイルス感染症による入院リスクが62%、統計学的にも有意に低下しました。一方、従来のウイルス株対応ワクチンについては、過去の接種回数に関係なく入院リスクの低下は認められませんでした。論文著者らは「新しい流行株に対応したワクチン接種の推奨を支持する結果である」と考察しています。

(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)