パート先の時給が「1100円」にアップ! 喜んでいたら「社会保険料」が引かれると聞きガッカリ。収入が増えても“得”にはならないのでしょうか?
物価高が続く中、従業員の賃上げによる社会保険料の負担について解説。
パートで働く場合の社会保険料負担条件や金額、メリットについて詳細に記載。
自分で社会保険料を負担することで将来の年金額増加など、メリットも考えられる。
昨今は物価高が続いている一方で、従業員の賃上げを実施している企業も少なくありません。毎月の給料が高くなるのはうれしいものでしょうが、時給がアップすることによって、今まではなかった社会保険料の負担が発生することもあります。
負担が増えるとがっかりするかもしれませんが、社会保険に加入するとさまざまなメリットが受けられます。
本記事では、社会保険料の負担がどれくらいなのか、加入するとどのようなメリットがあるのか解説します。
配偶者が働いていて、自身は社会保険料を負担しないでよい範囲でパートとして働いている人も多くいます。ただし、この場合でも所定の条件を満たすと自分で社会保険料を負担しなければなりません。
パートで働いた際に自分で社会保険料の負担が必要となる条件は、次の(1)~(5)を全て満たすことです。
(1)1週間の労働時間が週20時間以上
(2)賃金が月8万8000円以上
(3)雇用期間が2ヶ月を越えて見込まれる
(4)学生ではない
(5)勤務する企業の従業員数が101人以上
なお、(5)については、2024年10月以降は51人以上に範囲が拡大される予定です。
前記した条件を満たす場合、パートでも社会保険料の負担が発生しますが、負担する金額は収入によって異なります。
月収が8万8000円の場合、厚生年金保険料で月額約8000円、健康保険料で月額約4400円の負担が発生します(協会けんぽ、東京都の場合)。
これまで月収がぎりぎり8万8000円に達しないくらいだった場合、時給が上がり収入の基準金額を超えることで社会保険料の負担が発生し、手取りが逆に減ってしまうこともあるでしょう。
ただし、社会保険料を自分で負担することにより、今までにはなかったメリットにも期待ができます。
厚生年金保険料を毎月約8000円負担した場合、負担した分将来受け取る年金額も増加します。増額する年金受給額の年額は次の式で計算が可能です。
・平均標準報酬月額×5.481/1000×加入月数
例えば、40歳から60歳まで月収8万8000円で働き、厚生年金保険料を負担した場合、毎年の年金額は約11万6000円増加します。