皮膚を見れば病気が分かる…脇の下が黒くザラザラして厚くなっていたら胃がんの可能性

AI要約

皮膚症状が内臓の病気のサインとして現れることがある。

デルマドロームとは、内臓疾患と皮膚病変の関連を指す概念であり、内臓の病気を早期発見する手がかりとなる。

特定の皮膚症状が胃がんなど内臓の病気と関連することがある。

皮膚を見れば病気が分かる…脇の下が黒くザラザラして厚くなっていたら胃がんの可能性

 汗をかく夏は、あせもやニキビといった肌トラブルに悩まされる人が少なくない。ただ、治療をしても肌の不調が長引くなら、背後に内臓の病気が潜んでいるかもしれないという。東邦大学医療センター佐倉病院皮膚科教授の樋口哲也氏に聞いた。

 全身を覆う皮膚は、外部からの紫外線や異物の侵入を防ぐだけでなく、皮脂や汗を分泌して肌の乾燥を防いだり、体温調節の役割などを担っている。なかでも皮膚は古くから「内臓の鏡」ともいわれ、あらゆる病気のサインとして皮膚症状が現れやすい。

「全身疾患と関連して皮膚に病変をもたらすことを、医学的に『デルマドローム』と呼びます。これは1947年にアメリカの皮膚科医によって提唱された概念で、デルマ(皮膚科)とシンドローム(症候群)を組み合わせた造語です。悪性腫瘍や内分泌障害などで生じやすく、内臓の病気を早期発見する手がかりのひとつとされています」

 デルマドロームは、大きく「直接デルマドローム」と「間接デルマドローム」の2つに分類される。前者は視診で内臓疾患を特定できる皮膚の病変で、糖尿病による皮膚の潰瘍などが挙げられる。一方、後者は直接的な因果関係はないものの、高い頻度で出現する皮膚の症状を指す。

 なかでも胃がんに多く合併しやすいのが「黒色表皮腫」だ。脇の下や鼠径部など、摩擦が起こりやすい箇所に、硬くザラザラとした皮膚の肥厚が見られるのが特徴で、黒い色素沈着を伴いやすい。

「悪性腫瘍がなぜ皮膚病変を起こすか、はっきりと分かっていませんが、腫瘍細胞が出す成長因子(サイトカイン)が、皮膚の表皮細胞を増殖させるために皮膚症状を引き起こすといわれています」

 ほかにも、数週間のうちに背中に老人性イボ(脂漏性角化症)が広がった場合、「レーザー・トレラ兆候」と呼ばれる胃がん特有のデルマドロームの可能性が高いという。

「高齢者に生じる褐色や黒色のイボのほとんどは老化現象によるものです。しかし、短期間に大きなイボが発生し、強いかゆみを伴うなら皮膚科への受診をおすすめします」