「アマニオイル」で心血管と炎症性の疾患リスクを低減…朝に採りたい【時間栄養学的「気になる食品」】

AI要約

アマニオイルは、亜麻仁油として古くから利用されてきた植物油であり、健康効果が多く報告されている。

アマニオイルにはALAやビタミンEが豊富に含まれ、心血管疾患や炎症性疾患のリスク軽減に効果的である。

食事摂取基準に基づいた摂取目安量を考えると、少量のアマニオイルでも十分な栄養を摂取することができる。

「アマニオイル」で心血管と炎症性の疾患リスクを低減…朝に採りたい【時間栄養学的「気になる食品」】

【時間栄養学的「気になる食品」】

 アマニオイル(亜麻仁油)は、亜麻(フラックス)という種子から抽出される植物油です。一年草で、繊維はリネンの原料として使われています。

 紀元前8000年頃に中東で亜麻の栽培が始まり、古代エジプトでは亜麻の繊維が布地として使用される一方で、亜麻の種子からすでに油が抽出されていた記録があります。この頃、亜麻仁油は食用としてだけでなく、薬用としても利用されていた記録が残っており、古代ギリシャやローマでも重要な存在だったそうです。これらの伝統が現代まで引き継がれ、アマニオイルは多くの国で健康食品として評価されているのですね。

 アマニオイルにはいくつかの健康効果を確認した研究があります。アメリカ心臓協会(AHA)によると、アマニオイルに豊富に含まれるα-リノレン酸(ALA)の摂取が心血管疾患のリスクを低減する可能性があると報告していますし、欧州の研究機関でもALAの抗炎症作用が研究されていて、炎症性疾患のリスクを軽減する効果が報告されています。さらに、アマニオイルにはビタミンEや抗酸化物質も含まれており、これが肌の保湿や髪の健康に寄与する可能性も報告されています。

 ALAは、体内で一部がエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)に変換されることもわかっています。少し変換効率は悪いのですが、魚が苦手な方やアレルギーの方に取っては貴重な合成経路となるでしょう。DHA、EPAは朝摂ることで体内時計のスイッチを入れることが報告されていますが、ALAが代謝されたあと体内時計にどのように関わるかはまだはっきりしていません。ただし、脂質の代謝は夜に悪くなることはわかっていますから、朝や昼の活動期に取るのがおすすめです。

 厚生労働省「日本食事摂取基準 2020年版」によると、オメガ3脂肪酸の摂取目安量は、成人1人当たり1日1.6g~2.2gとされています。アマニオイルで考えると、なんと、小さじ一杯(約4.6g)を摂取すれば1日の摂取目安量をクリアできてしまうのです!

 アマニオイルは熱や光に弱く、酸化しやすいのが特徴です。ですから、いくら体にいいからといって野菜炒めなどに使うと酸化した油となってしまうので、ぜひ生食で召し上がってくださいね。使用頻度を考えた量を購入し、冷蔵庫で保管。開封後3カ月以内を目安に使い切ることも大切ですよ!

(古谷彰子/愛国学園短期大学准教授)