「ラッシー」は体を冷やし、消化機能を改善する理想的な飲み物【時間栄養学的「気になる食品」】

AI要約

ラッシーは南アジア地域で愛されるヨーグルトベースの発酵飲料で、消化機能を改善し、体を冷やす効果がある。

ラッシーにはさまざまなバリエーションがあり、地域によって甘いものや塩味のものがある。近年、世界的に人気が高まっている。

インドでの研究では、ラッシーの摂取が消化機能の改善や免疫機能の向上、乳糖不耐症の改善効果が示されている。

「ラッシー」は体を冷やし、消化機能を改善する理想的な飲み物【時間栄養学的「気になる食品」】

【時間栄養学的「気になる食品」】ラッシー

 ラッシーはインドをはじめとする南アジア地域で伝統的に愛されているヨーグルトベースの発酵飲料です。その起源は古代インドにさかのぼります。紀元前1000年以上前から、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダにおいて、ラッシーは「アグニ」(消化の火)を調整し、消化機能を改善するための飲み物として推奨されてきました。

 ラッシーにはさまざまなバリエーションがあり、消化を助けるためにスパイスやハーブが加えられることも多いです。特に暑い気候の中で、ラッシーは体を冷やすための理想的な飲み物として重宝されてきたのです。

 インドの伝統食品とも言えるラッシーですが、各地域でラッシーのレシピや作り方が異なります。たとえば、北インドでは甘いラッシーが一般的で、マンゴーやバナナなどのフルーツが加えられることもあります。一方、南インドでは塩味のラッシーが好まれることが多いそうです。近年では、ラッシーはインドや南アジアだけでなく、世界中で人気が高まっています。

 近年、インドでラッシーを用いた研究が増えてきています。たとえば、インドの2015年の研究では、100名の成人被験者に対して毎日200mlのラッシーを4週間にわたって摂取させ、その影響を観察したところ、ラッシーの摂取が消化機能を改善し、胃腸の不調を軽減する効果が見られた報告があります。また、2018年には免疫機能に関連するマーカーの変動を調査したところ、ラッシーの摂取が免疫系のマーカーを改善し、感染症リスクを低減する可能性も示されています。

 ラッシーは発酵の過程で、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が乳糖を分解することがわかっています。このため、ラッシーは乳糖の含有量が通常の牛乳よりも少なくなります。その仕組みを利用した2017年の研究では、50名の乳糖不耐症患者にラッシーを毎日200ml摂取させ、その症状の変化を観察したところ、ラッシーの摂取が乳糖不耐症の症状を軽減する効果があることが示唆されました。

 日本で売られているラッシーは糖質やビタミンが豊富なものが多いため、朝に飲むのがおすすめ。もちろん、持病があって不安な場合は病院の先生と相談の上にはなりますが、さまざまな健康効果が報告されているラッシーを、これからの暑い季節にぜひ飲んでみてはいかがでしょうか。

(古谷彰子/愛国学園短期大学准教授)