やっぱりがん保険は加入すべきなのか…医療保険に入ったことがない森永卓郎が直面した「がん治療費」のリアル

AI要約

がんとは細胞のコピーミスが原因で生じる病気であり、体内で免疫細胞との戦いが続いている。がん治療にはオプジーボなどの薬物が使用され、免疫力を高めることが重要である。

免疫細胞の力は健康度によって左右されるため、健康なライフスタイルを送ることが重要である。免疫力には患者の気持ちも大きく影響し、前向きな姿勢が重要である。

がん治療にはオプジーボのような画期的な治療薬が存在するが、精神面の支えも重要である。治癒が保証されるわけではないが、適切な治療と積極的な姿勢が免疫力向上につながる。

経済アナリストの森永卓郎さんは2023年12月にすい臓がんのステージIVであることを公表した。がん治療にはどれくらいの費用がかかるのか。闘病生活をまとめた書籍『がん闘病日記』(三五館シンシャ)より、がん治療にかかるお金の解説をお届けする――。

■コピーミスでがん細胞が生まれる

 私は医学の専門家ではないので、あくまでもイメージとしてとらえてほしいのだが、私の頭のなかでは、がんという病気は、次のようなものとして整理されている。

 人間の体のなかでは、新陳代謝のために、古い細胞のデータをコピーして、新しい細胞が作られる。その際、まれにコピーミスが起き、本来と違う細胞が生まれてしまう。それが、がん細胞だ。

 がん細胞は、毎日、誰の体にも数多く生まれているが、それが問題になることは少ない。体のなかに存在する免疫細胞ががん細胞を攻撃し、消滅させてしまうからだ。

 つまり、体の中では、つねに免疫細胞軍団とがん細胞軍団が対峙し、ふだんは免疫細胞軍団のほうが優勢なのだ。

■オプジーボは免疫細胞が浴びた泥を洗い流す

 ところが、なんらかの理由で免疫細胞軍団の力が弱まってくると、がん細胞軍団が一気呵成に攻めてくる。

 がん細胞は、武器として泥団子を持っており、それを免疫細胞軍団にぶつけてくる。

 泥を浴びた免疫細胞は身動きができなくなり、がん細胞軍団が優勢になる。それががんの発病だ。

 オプジーボは、免疫細胞が浴びた泥を洗い流す役割を持っている。

 泥がなくなって身動きがとれるようにして、再びがん細胞軍団との戦いの舞台に戻していくのだ。

■健康によいライフスタイルで免疫力が上がる

 免疫細胞軍団が、どれだけの力を持つのかは、軍団を構成する兵士の「健康度」にかかっている。

 だから、野菜中心のヘルシーな食事をとったり、体温を上げたり、健康によいライフスタイルですごすと、免疫細胞軍団の健康度が上がり、力を強めることができるのだ。

 もちろん健康度をどう高めたらよいのか、適合する対策は、兵士の個性によって異なる。だから、健康度を上げる治療法というのが、議論百出になってしまうのだ。

■免疫力の3割は「気持ち」

 ただ、ひとつだけ付け加えておきたいのは、ある医師が「免疫力の3割は患者の気持ちだ」と断言していることだ。

 「ダメだ、ダメだ」と言って暗くなっていると免疫はどんどん落ちていく。漫画『SLAM DUNK』の安西先生は「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」と言ったが、そのとおりなのだと思う。

 だから、がん治療のアドバイスで、精神面を強調することは、それなりの根拠があることなのだ。

 もちろん、精神を鍛えるだけでがんは克服できない。その意味で、治癒できるかは別にして、免疫細胞軍団のおよそ半数に効果を及ぼすとされているオプジーボは、画期的な治療薬なのだと思う。