アルファベット、5四半期連続の増収増益 4~6月期

AI要約

アルファベットは2024年4~6月期に連続して増収増益を達成し、売上高は前年比14%増の847億4200万ドル、純利益は29%増の236億1900万ドルだった。

主力のインターネット広告事業が11%増収し、クラウド事業も29%増収を記録。市場予想を上回る業績を達成したが、今後は投資拡大に伴う利益率の圧迫が懸念されている。

CEOのピチャイ氏も過少投資のリスクを強調し、自動運転技術への大規模な投資、設備投資額の増加など、成長に向けた積極的な取り組みを示唆している。

 米グーグルの持ち株会社である米アルファベットが7月23日に発表した2024年4~6月期決算は、売上高が前年同期比14%増の847億4200万ドル(約13兆900億円)、純利益が29%増の236億1900万ドル(約3兆6500億円)だった。

 4四半期連続の2桁増収で、5四半期連続の増収増益を達成した。純利益は過去最高だった前四半期に近い水準に達した。インターネット広告の2桁増収が続いたほか、クラウド事業の売上高と営業利益が過去最高を更新した。

 1株利益は1.89ドル(前年同期は1.44ドル)で、売上高とともに市場予想を上回った。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、アルファベットのルース・ポラットCFO(最高財務責任者)は、技術インフラへの投資とスマートフォンなどの新たなハードウエアの発売コストが、24年7~9月期の営業利益率を圧縮する可能性を示唆した。これを受け、同日の米株式市場の時間外取引で同社株は1.4%下落した。

■ 主力インターネット広告11%増収

 主力のインターネット広告事業の売上高は、前年同期比11%増の646億1600万ドル(約9兆9800億円)となり、5四半期連続の増収。ただし増収率は前四半期の13%を下回った。

 インターネット広告売上高の内訳は、検索連動型広告が485億900万ドル(約7兆4900億円)で、13.8%増加した。動画共有サービス「YouTube(ユーチューブ)」は、13%増の86億6300万(約1兆3400億円)で、5四半期連続の増収。ただしYouTubeの増収率は前四半期の21%を下回った。

 グーグル広告ネットワークは、5%減の74億4400万ドル(約1兆1500億円)。これらを含めたグーグル・サービスの売上高は11.5%増の739億2800万ドル(約11兆4200億円)だった。

■ グーグルのクラウド事業29%増収

 AI(人工知能)の活用など、新たな事業戦略の中心と位置付けるクラウドコンピューティングの売上高は前年同期から29%増の103億4700万ドル(約1兆6000億円)となり、市場予想を上回った。

 「クラウド事業は四半期ベースで、売上高が初めて100億ドルを超え、営業利益が初めて10億ドルを上回った」(ポラットCFO)。「今後も成長機会を支える投資を進める一方で、持続可能なコスト構造の再構築に向けた取り組みを続ける」(同)という。

 22年後半に米オープンAIの「ChatGPT」がリリースされて以降、テクノロジー企業間でクラウドコンピューティングインフラを構築するための競争が激化している。そうした中、グーグルはAIに多額の資金を投じてきた。

■ ピチャイCEO、投資拡大に意欲

 WSJによれば、アルファベットの24年4~6月期の設備投資額は前年同期比91.4%増の132億ドル(約2兆400億円)に達した。ポラットCFOはこの日、24年末までの設備投資額を1四半期当たり120億ドル以上とする計画を明らかにした。

 スンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)も「このような状況下では、過少投資のリスクのほうが、過剰投資のリスクよりもはるかに大きい」と投資の意義を強調した。アルファベットは、傘下の自動運転開発会社、米ウェイモに対し、新たに50億ドル(約7700億円)規模の投資を複数年かけて行うことも明らかにした。