「Tellus」の衛星データを「QGIS」で解析できるクラウドサービス、アップデート–解析ツールも実装

AI要約

クラウドサービス「Tellus Satellite Data Master with QGIS」が7月11日にアップデートされ、GCOM-C衛星の時系列データのアニメーション表示が可能になった。

衛星データをQGISで解析する際に必要なPCやブロードバンドを用意する必要がなく、手軽に地図上で衛星データを確認しながら解析できる。

今回のアップデートでは、検索機能の操作性が改善され、複数の衛星データシーンを一括でダウンロードできるようになった。

「Tellus」の衛星データを「QGIS」で解析できるクラウドサービス、アップデート–解析ツールも実装

クラウドサービス「Tellus Satellite Data Master with QGIS」が7月11日にアップデートされた。気候変動観測衛星「しきさい」(Global Change Observation Mission-Climate 1:GCOM-C)の時系列データがアニメーションで表示されるようになった。

 Tellus Satellite Data Master with QGISは、衛星データプラットフォーム「Tellus」に格納されている衛星データを利用できる「QGIS」を標準で利用できる。QGISは、オープンソースの地理情報システム(Geographic Information System:GIS)ソフトウェア。利用するにはTellusへのログインが必要。

 一般的にQGISで衛星データを解析するには、QGISとともに衛星データを処理性能の高いPCにダウンロードする必要がある。そのため、ブロードバンドを用意する必要もある。同サービスでは、QGISがプリインストールされており、地図上で衛星データを確認しながら解析できるようになっている。処理性能の高いPCやブロードバンドを用意しなくても、Tellusで公開されている衛星データをQGISで解析することができる。

 同サービスはQGISのプラグインとしてTellusプラグインがあり、Tellusの各種APIと連携する機能がある。TellusプラグインからTellusにある衛星データを検索、ダウンロードできる。ダウンロードしたデータは、地図上に別のデータとマッシュアップして解析することもできる。

 Tellusプラグインとして簡易解析ツール「Tellus-LFP(Learning From the Past)」も実装されている。Tellus-LFPは、GCOM-Cの海面水温(Sea Surface Temperature:SST)やクロロフィルα濃度(CHLorophyll-A concentration:CHLA)といったデータを時系列で表示、解析することが可能だ。

 GCOM-Cのデータを表示する時QGISの初期設定だとグレースケールで表示されるため、観測値を読み取ることが難しい。観測値ごとに適切な色を手動で割り当てることで視覚的に確認できるが、データが多いとシーごとに設定する必要があり、手間がかかる。Tellus-LFPであれば、対象のデータを一括で簡易的に色分けして表示できるという。

 GCOM-Cで観測しているデータは、時間経過の変化で地球がどのように変動しているかを調べることができる。今回のアップデートで、QGIS上にGCOM-CのSSTやCHLAのデータを複数用意して、興味のある地点で地図上で指定すると、その地点の観測値を時系列グラフで表示。見たい場所の範囲内の平均値を算出化してグラフで表示することも可能だ。各シーンごとに数値を確認して計算するようなデータ解析の作業が大幅に短縮できるとしている。

 Tellus-LFPでは、読み込ませた複数シーンの地図での表示をコマ送りにしたアニメーションを生成可能。地球全体の観測値の時系列変化を視覚的に把握できるようになっている。

 今回のアップデートでは、Tellusで公開されている多くの衛星データをQGIS上でより使いやすくするために検索機能の操作性も改善したという。

 これまでは、衛星データをQGISにダウンロードするためには、1シーンごとにダウンロードする必要があったが、検索条件で絞り込んだ衛星データの中から複数のシーンを選択して一括でダウンロードできるようになった。

 地図上で衛星データを確認する際には、ダウンロードをしないとシーンが表示されなかったが、検索条件で絞り込んだ後にサムネイル画像が地図上でも表示されるようになり、ダウンロードする前に簡易的に確認できるようにもなっている。

 Tellus Satellite Data Master with QGISはOSがWindows Server。利用するには、Windows Serverのリモートデスクトップサービスに接続できる端末が必要。サービスメニューは以下の通り(価格は税込み)。

4GB8GB16GB月額料金2万9700円4万9500円9万3500円仮想CPU4コア6コア8コアメモリ4GB8GB16GBストレージ(SSD)250GB500GB1TBTellus Satellite Data Master with QGIS

 「QGISは不要、PythonなどのCUI環境で衛星データを取り扱いたい」というユーザー向けに「Tellus Satellite Data Master」も用意されている。OSはUbuntu、利用するにはインターネットのUbuntuにSSH接続できる端末が必要。サービスメニューは以下の通り(価格は税込み)。

4GB8GB16GB月額料金1万7600円3万3000円5万5000円仮想CPU4コア6コア8コアメモリ4GB8GB16GBストレージ(SSD)250GB500GB1TBTellus Satellite Data Master