O157食中毒発生「飲めるハンバーグ」店舗の“生焼け”提供システムに変化、騒動前の“追い焼き”を公式が見直し

AI要約

千葉県船橋市の人気レストランで食中毒が発生し、腸管出血性大腸菌「O157」が原因であることが判明。

客34人が下痢や腹痛を訴え、1人が溶血性尿毒症症候群を発症。

提供していた「飲めるハンバーグ」の提供スタイルが変わり、加熱時間が長くなったことが明らかになった。

店舗は休業処分を受けた後、営業再開。提供スタイルに変更が見られ、メニューの柔らかさも変わった。

顧客への安全対策として、食中毒菌死滅のための適切な加熱を徹底。

多くの客が訪れる同店舗では、ハンバーグ提供の手順や対応策を見直し、再発防止に取り組んでいる。

O157食中毒発生「飲めるハンバーグ」店舗の“生焼け”提供システムに変化、騒動前の“追い焼き”を公式が見直し

 9月6日、「飲めるハンバーグ」で人気を博している、千葉県船橋市のレストラン「将泰庵DINER」シャポー船橋店で、腸管出血性大腸菌「O157」が原因の食中毒が明らかになった。

 約2週間経った店舗を訪れたところ、変化が見受けられた──。

「8月25日から28日に『飲めるハンバーグ御前』を食べた客が、下痢や腹痛を訴えました。9月6日に船橋市保健所は『O157』が原因の食中毒と断定し、その後の調査で下痢や血便の症状を訴える人が計34人になったと発表。

 さらに、9月13日には患者の1人が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症したことも発表しました。ただし、店舗は9月6日から3日間の営業停止処分を受けた後、市の保健所の指導を経て、9月9日から営業を再開しています」(社会部記者)

 問題となった「飲めるハンバーグ」は、A5ランクの雌牛を使用し、粗挽きより細かい目で2度挽きすることで、ふわふわの食感に仕上げたという売り文句。

 箸を入れるとたっぷりの肉汁があふれ、歯が要らないほど柔らかいことから、“飲める”と形容しているという。提供スタイルには特徴があった。

「鉄板に乗せられて提供されますが、ハンバーグの中には“生焼け”の赤い部分も残っていました。店からは『赤い部分が残っている場合は、3分ほど待ってください』と伝えられ、客が“追い焼き”するのが特徴的。この加熱が不十分なハンバーグを食べたことで、食中毒が発生したと思われます」(前出・社会部記者)

 すでに営業再開しているが、今回の件を受けて“生焼け”が残った提供スタイルはどうなったのか。

 9月中旬、本誌記者は「将泰庵DINER」シャポー船橋店を訪れた。オープン直後の午前11時すぎから、テーブル席の半分以上が埋まっており、現在も訪れる人は多い様子。

「飲めるハンバーグ御膳」を注文したところ、店員から焼き上がりに15~20分ほどかかると伝えられた。ハンバーグが運ばれてきたが“追い焼き”に関する説明はない。店員によれば「すべてよく焼きにしている」とのこと。

 実際、箸で割ると、肉の中心までしっかり火が通っており、赤い部分はない。口に入れると肉汁があふれるが、食感は通常のハンバーグよりやや柔らかい程度に感じる。

 加熱時間を長くしたことで、店の売りだった“飲める”と形容する柔らかさは薄れてしまったのかもしれない。

 ハンバーグを提供する際のオペレーションと、食中毒発生後の対応について、店舗を運営する「株式会社将泰庵」に問い合わせたところ「75度で1分になるよう、焼成時間を長くしました。対応などに関しましては、ホームページに記載させていただいております」との回答だった。

「75度で1分」は、食中毒菌の多くが死滅するとされる加熱の目安。今回の件を受けて、厨房でのオペレーションを見直したようだ。

 飲食店として“当たり前”のことなのだが……。