粘膜にもぐり込み穴が空くことも!?胃や腸に激痛が走るアニサキス症…疑いがあったらどうすればいいのか聞いた

AI要約

アニサキス症は、サバなどの魚に寄生する寄生虫が消化管に突き刺さることで起こる食中毒で、激しい腹痛、吐き気、下痢などが症状として現れる。

胃アニサキス症と腸アニサキス症があり、症状が発現するまでの時間に違いがある。ワサビや醤油での消毒や徹底的な噛むことは有効ではなく、加熱や冷凍が安全な対処法とされている。

厚労省は、70℃以上で加熱するか、-20℃で24時間以上冷凍することを推奨している。

粘膜にもぐり込み穴が空くことも!?胃や腸に激痛が走るアニサキス症…疑いがあったらどうすればいいのか聞いた

食欲の秋。お刺身もおいしい季節だ。そこで注意したいのが、サバなどの魚に寄生するアニサキスによる食中毒「アニサキス症」だ。 

経験した人は、「もう二度となりたくない」と言うほどの苦しみだというが、どのような症状なのだろうか。実際にかかった場合どうすればいいのだろうか。 

昭和大学医学部准教授の鈴木慎太郎さんに症状と実際になった時の対処法を聞いた。 

「アニサキス症は、サバ、タラ、サンマなどの魚に寄生するアニサキスという寄生虫が、人間の消化管の粘膜に突き刺さることで起こる病気です。『突き刺さる』といっても、噛みつくのではなく、モグラやトンネルの掘削機のように消化管の粘膜に潜り込んでいくイメージです」 

アニサキスが消化管に刺さると、激しい腹痛、吐き気、下痢などが起こるという。 

「特にお腹の痛みは激烈で、七転八倒し、病院に駆け込む人も多いです」 

アニサキス症になった人は、その痛みについて「これまでに体験したことがないくらいみぞ落ちのあたりが押されているような激痛だった」などと表現している。 

胃に刺さる場合と腸に刺さる場合があり、それぞれ「胃アニサキス症」「腸アニサキス症」と呼ぶ。 

食べた直後に発症することもあれば、数日後に発症することもあるとのこと。 

「特に腸のアニサキスの場合は半日や数日遅れて発症することもあります。やはり胃の場合と同様に激しい痛みがある場合がありますが、原因がわからないまま食あたりと診断され、自然に治ってしまうこともあります。時間が経つと寄生虫は死んで脱落するため、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)をしても多くは見つからないからです」 

痛みに七転八倒するアニサキス症は怖いが、それでも刺身はおいしくいただきたい。そんなニーズからか、ネットでは、「ワサビや醤油と一緒に食べるとアニサキスは死ぬ」「よく噛んで食べる」などと検索されている。このような説は事実なのだろうか? 

「ワサビと醤油では、死滅させる効果はほとんどありません。よく噛んで食べるという噂については、確かにピンポイントで寄生虫を噛めば死にますが、それは何百メートルも離れた的を射抜くくらいの確率だと思うので、ほぼ無理でしょう。徹底的に加熱するか業務用冷蔵庫で凍らせるのが安全です」 

なお厚労省は、70℃以上で加熱する(60℃台で1分間加熱でも可)か、-20℃で24時間以上冷凍することを推奨している。