じつは日本で「日本語を話せない中国人」が増加している…至るところに広がる「中国人コミュニティ」

AI要約

日本で急増している中国人が日本語があまりできない理由について取材結果を元に解説。

中国人富裕層が日本に「潤」してくる際の状況や日本語学習に対する意識の違い。

日本に逃亡する中国人たちのモチベーションと日本社会との接点の乏しさについて。

じつは日本で「日本語を話せない中国人」が増加している…至るところに広がる「中国人コミュニティ」

日本、とくに東京近郊にじわじわと中国人が増えていることを肌で感じている日本人は多いだろう。電車内でも、飲食店でも、住宅地でも、病院でも、子どもの学校でも、「観光客以外の中国人」を見かける機会が増えた。

私もその一人だが、最近実感するのは「日本語があまりできない中国人」が増えてきたのではないか、ということだ。私は新刊『日本のなかの中国』の取材を通して、なぜ、日本語ができない中国人が増えているのか、その理由を知った。

2022年11月、私は日本に「潤」(ルン=移住、逃亡などの意味)してきた中国人富裕層に会った。彼は中国のゼロコロナ政策に耐えきれず、衝動的に日本移住を決め、キャッシュで都内のマンションを買ったと話してくれたが、日本語はできなかった。

まだ20代後半と若いが、日本語を一から学習しようという気持ちはなく、店などで困ったときにはスマホの翻訳アプリを使ったり、筆談したり、日本語が堪能な中国人に電話を掛けたりして、急場をしのいでいると話してくれた。看板や表示などは漢字が多いため、日本語がわからなくても、あまり不自由しないという。

このような人々が、中国のゼロコロナ明けから日本に急増している。その数は経営・管理ビザや短期のビジネスビザの取得者数などから類推して、ざっと2万人以上になっていると思われるが、“奥の手”を使って、もっと初期費用が安い別のビザを取得して来日しているケースもあり、正確な数はわからない。

しかし、わかっているのは、彼らの場合、来日の目的は「中国からの逃亡」であることだ。そのため、従来、日本に「留学」や「就職」、あるいは「日本人との結婚」などの目的でやってきた人々とは根本的に異なっている。日本語を学ぼう、日本語を学ばなければならない、というモチベーションはかなり低く、切迫感もない。

むろん、長期滞在を考えているなら、日本語は必要になってくるはずだが、家族(学齢期の子ども)がいない独身者や、日本企業で働く予定がない中高年の場合、あまり必要ないようだ。

それは、日本に住んでいながら「日本社会との接点」が非常に少ないからである。つまり、日本の中の中国人社会だけで生活が完結し、とくに困っていることはない、ということだ。