東北新幹線車両分離、回転錠が不完全 信頼できる「密着連結」で走行中外れるレアケース

AI要約

東北新幹線で19日、走行中の車両が突然分離するトラブルが発生。JR東日本ははやぶさとこまちの運行を再開。

連結器の不完全な回転錠が原因とみられ、安全対策は正常に機能した。

新幹線では高信頼性の密着連結器を使用し、96編成全てを点検する方針。

東北新幹線で19日、走行中の車両が分離する衝撃的なトラブルが起きた。JR東日本は同日中に「はやぶさ」と「こまち」の連結運転を含めた通常運行を再開した。同じ形式の連結器は在来線でも幅広く使用され、「信頼性が高い」(鉄道関係者)とされる。同社関係者によると、何らかの原因で連結器を固定する回転錠が不完全だったとみられる。

盛岡駅では東北新幹線の「はやぶさ」と秋田新幹線の「こまち」の2つの編成が毎時上下1本ずつ、上り線では連結、下り線では分離する作業がそれぞれ行われている。

この連結部が宮城県内の古川-仙台間を走行中に突然外れた。脱線衝突事故を防ぐ自動ブレーキは正常に作動し、安全面に問題ないことから早期再開に踏み切った。

同社関係者によると、車両の連結を行う際は通常、両側の連結器が正常につながったことを運転士が電気信号で確認する。さらに盛岡駅での連結作業には新幹線車両の検査や修繕を行う整備作業員も立ち会うという。

ただ、在来線の車両基地などでは電気信号で連結が確認できても機械的に連結が不完全で外れてしまうことが、まれにあるという。盛岡駅での作業員による目視では状態を確認しきれなかった可能性もある。

JR東は19日、連結器の外観には異常はみられず、人為的ミスの可能性は低いとの見方を明らかにした。連結して運行する全96編成を緊急点検する方針も示した。

連結器には主に貨物車両で使用される「自動連結器」と、連結器同士が隙間なく接続される「密着連結器」がある。新幹線では密着連結器が採用されている。鉄道アナリストの川島令三氏は「密着連結器は信頼性が高く、走行中に外れるのはかなりのレアケースだ。経年劣化などで連結を固定するロックが緩み、振動で外れた可能性も考えられる」と指摘する。(市岡豊大、山本玲)