地震で一時孤立、輪島の4地区が集団移転を検討…高齢化と過疎が進む山間からリスク低い場所へ

AI要約

石川県輪島市で、少なくとも4地区が集団移転を検討中。被災地で初めての計画で、山あいの地区での過疎が進む地域が対象。住民らは孤立リスクの低い場所への移転を希望。

集団移転を検討する地区は、道路寸断などで孤立するリスクが高い。移転先は今の住居から離れすぎず、市中心部への交通の便が良い地域が選ばれている。

国や市からの支援を受けつつ、住民協議を経て全住民か希望者のみかを判断。奥能登地域全体でも集団移転についての動きが見られる。

 能登半島地震の被災地・石川県輪島市で、少なくとも4地区(計257世帯)が集団移転を検討していることがわかった。今回の被災地で計画が明らかになるのは初めて。いずれも高齢化と過疎が進む主に山あいの地区で、道路寸断などで一時孤立した。住民らは災害時に孤立するリスクの低い場所への移転を希望しており、市は実現に向け支援する方針だ。

 奥能登4市町では最大24地区が孤立し、14地区が輪島市だった。集団移転の動きが判明することで他の地区も続く可能性がある。

 集団移転を検討しているのは、山あいの門前町浦上(143世帯266人)、別所谷町(41世帯77人)、打越町(11世帯22人)と海沿いの稲舟町(62世帯119人)の計4地区。

 26集落が分散する門前町浦上は、国道に近い浦上公民館周辺に集約する形での移転を希望。別所谷町は約4キロ北の国道沿い、打越町は約2キロ南東の県道沿いを移転先として検討している。いずれも今の住居から離れすぎず、市中心部への交通の便が良い地域だ。

 打越町区長の谷内(やち)均さん(66)は「地区は高齢者が多い。最近も土砂崩れがあり、再び孤立すると危険だ」と話す。各地区は住民協議を経て全住民での移転か、希望者のみの移転かを判断する。門前町浦上と別所谷町は住民の半数近くが移転を希望している。

 同市には行政機能などを一定程度集約する「コンパクトシティー」構想があり、集団移転はそれに沿う。坂口茂市長は26日、取材に対し「コミュニティーがバラバラにならないよう、しっかり支援したい」と語った。

 奥能登では、輪島市のほか津波被害を受けた能登町白丸(95世帯192人)で、区長らが7月3日に町側と集団移転について協議する。珠洲市と穴水町では具体的な計画はないという。

 集団移転の枠組みの一つに、移転先の用地取得などの費用の4分の3を国が補助する「防災集団移転促進事業」がある。国土交通省によると、東日本大震災では約1万2500世帯が集団移転したほか、新潟県中越地震でも同県長岡市や小千谷市で行われた。