定年後はタクシーの運転手をしようと思います。息子は「深夜労働が多くなるしきついよ」と言いますが、現実的ではないのでしょうか?
定年後、再就職先としてタクシー運転手を選ぶ人が増えている。組合の調査によると、高齢者の割合が増加している。
タクシー運転手の勤務形態は柔軟で、体力に合わせて調整できる。短時間勤務も可能で、深夜勤務は本人の意向を尊重される。
タクシー運転手への就職には普通第二種運転免許が必要。加齢による認知機能の低下への注意が必要。
定年後、「まだ働けるから」「年金だけでは生活が不安だから」といった理由で、再就職する方もいるでしょう。とくに物価高の昨今、今の貯蓄では将来生活費が足りなくなる可能性もゼロとは言い切れません。
定年後の選択肢は個人の経歴によって異なりますが、「タクシー運転手」は人気の職業といわれています。
比較的自由な働き方ができるといわれるため、人気が高いようです。今回は、定年後にタクシー運転手として働くことや、定年後の平均年収との比較について解説します。
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会が公表している「ハイヤー・タクシー業 高齢者の活躍に向けたガイドライン」によると、65歳以上のドライバーの割合は、令和2年3月時点で全体の46.2%でした。
また平成29年の調査では42.8%であったため、年々増加傾向にあることが分かります。なお、その次に多いのが40歳~59歳の32.5%で、40歳未満の割合は全体の5%程度でした。
上記より、定年後の再就職先としてタクシー運転手を選んでいる人は多いと想定できるでしょう。また、気になる勤務形態ですが、タクシー運転手は以下の3つの勤務形態から好きなものを選べるようです。
・昼日勤(1日8時間勤務)
・夜日勤(1日8時間勤務)
・隔日日勤(所定労働時間が14時間30分、休憩3時間など、2 日分の業務を1 回の勤務時間で行う)
正社員雇用やフルタイムの場合は上記のスケジュールですが、高齢者の方に向けて短時間勤務を実施しているところも珍しくないようです。
とくに定年後の再就職先として働く場合は、体力に合わせて調整してくれるところもあります。そのため、深夜勤務はあっても、本人が希望しない限り強制されることはないでしょう。
再就職先でタクシー運転手として働く際は、いくつかの注意点があります。とくに高齢者ならではの課題も存在するため、以下のポイントをしっかりと理解しておくことが重要です。
■働く際の注意点
タクシー運転手として働くには学歴や経験は問われませんが、普通第二種運転免許証が必要のようです。また、一部指定の地域で働くために、「タクシーセンター」の試験を受けなければならない場合もあるようです。
また、教習所に通う場合は、およそ20万円の費用がかかるようです。まとまったお金が必要な点にも注意が必要です。ほかの注意点として、加齢が進むと、認知機能の低下が予測されます。
とくにタクシー運転手のような運転時間が長い職種だと、交通事故のリスクは高くなるでしょう。日々の健康管理や定期的な認知機能検査を受け、運転能力を確認しましょう。
■タクシー運転手の年収
厚生労働省 職業情報提供サイト「jobtag」によると、タクシー運転手の平均年収は419万円です。
なお、総務省統計局が公表している「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模計10人以上の企業において、「60~64歳」の方の平均年収は、461万6400円、「65~69歳」の方の平均年収は434万4000円であるため、タクシー運転手の年収は、平均より15万~50万円ほど下回っていることが分かりました。