戦闘機が今もズドドド!!ってタマ撃つ必要ある? ミサイル時代にも「ガンポッド」 見た目ジャマでも欠かせない理由

AI要約

軍用機に搭載されるガンポッドの歴史や重要性について解説。

第2次世界大戦時に主翼に機銃を内蔵する技術の向上と、その限界からガンポッドが誕生。

Ju87Gなど、ガンポッドを使用する利点とデメリットを挙げながら、その有用性を説明。

戦闘機が今もズドドド!!ってタマ撃つ必要ある? ミサイル時代にも「ガンポッド」 見た目ジャマでも欠かせない理由

 軍用機の翼や胴体に外付けする武装には、爆弾やミサイルだけでなく、機銃や機関砲をコンテナに収めた「ガンポッド」と呼ばれる装備があります。

機体にぶら下げたガンポッドは見るからに邪魔で、明らかに航空機としての性能低下につながりそうです。しかしどういうわけか、搭載するミサイルが高性能化し、機体にはステルス性能が付与された第5世代戦闘機においても、依然としてガンポッドは健在なのです。そこには軍用機に求められる役割にまつわる、やむにやまれぬ事情があります。

 まずは歴史をさかのぼってみます。金属製の単翼機が主流になった第2次世界大戦では、機銃がコックピット前方や主翼に内蔵されるようになりました。敵機と空中戦では機銃の口径が一般的に7.7mmや12.7mmで、B-17や「ランカスター」といった四発重爆撃機を迎撃するには、零戦に装備されていたような20mm以上の機関砲が有効とさされました。

 しかし、機関砲は初速が遅く命中率が落ちるうえに重量がかさむなど問題を生じやすく、後から内部に増設するには機体設計の見直しが必要になります。そこで後付けとして主翼に機関砲を吊り下げたのがガンポッドでした。このガンポッドを最も多用したのがドイツ空軍でした。

ドイツ軍のメッサーシュミットBf109の基本設計は、主翼に機銃を内蔵しない代わりに、プロペラシャフトを貫通して弾丸を発射するモーターカノンを主力兵器としていました。ところが当初は振動など技術的な問題が解決できず、初期型はコックピット前方に内蔵した13mm機銃しか装備できませんでした。

そこで主翼の設計を工夫して翼内に機銃を収納するなど改良が重ねられ、ようやくF型で20mmまたは30mm機関砲のモーターカノンが実用化します。その代わりに翼内の機銃は廃止されました。しかし、大型爆撃機対策のため機関砲の増設が求められた結果、この後のG型では主翼に20mmのガンポッドや爆弾、ロケット弾を装備するようになりました。

 また、スツーカの愛称で知られる急降下爆撃機Ju87も、地上の装甲車両攻撃用に後付けのガンポッドが活用された機体でした。

Ju87は第2次世界大戦初期の電撃戦で猛威を振るいましたが、1942年後半には旧式化していました。それでもドイツ軍は後継機を開発するよりJu87の改良を選びます。物量で戦局を巻き返す旧ソ連軍に対抗するため、主翼の下に37mm機関砲のガンポッドを搭載したJu87Gが1943年春から東部戦線に投入されました。

 ただ、外装の爆弾や燃料タンクとは違い、飛行中に切り離せないガンポッドは常に大きな空気抵抗をもたらすため、Ju87Gの操縦は非常に困難だったといわれます。しかし、そうしたデメリットを忍んで運用され、Ju87のエースであるルーデルなどが、大戦後期の東部戦線で旧ソ連の戦車を相手に少なからぬ戦果をあげています。