コメ品薄、広がる困惑 猛暑で価格高騰

AI要約

コメの品薄状態が続いており、昨年の猛暑による品質低下で流通量が減少。買い占めが起きることを防ぐため、スーパーも購入を制限している。価格が上昇し、外食需要の増加も影響している。

品薄の原因は23年産の収穫量は例年どおりだったが、高温による品質悪化で供給量が不足。結果として、特売の中止や値上げが相次いでいる。

JAグループなどが発表した数字によると、コメの取引価格が過去11年で最高水準に達している。新米の流通が始まることで品薄は解消される見込みだが、仕入れ価格の上昇は続く可能性がある。

コメ品薄、広がる困惑 猛暑で価格高騰

 コメの品薄状態が続いている。

 昨年の猛暑による品質低下で流通量が減少、買い占めが起きないよう購入を制限するスーパーも出てきた。価格も上がり続けており、インバウンド(訪日客)の回復による外食需要の増加が拍車をかける。今後市場に出回る2024年産米も酷暑の影響が懸念され、業者や消費者の間に困惑が広がっている。

 「ここまで品薄なのは平成の米騒動以来」。中堅スーパー「アキダイ」の秋葉弘道社長は頭を抱える。値上げを繰り返す中、アキダイ関町本店(東京都練馬区)では25日午前、コメ売り場に「おひとり様1点まで」の張り紙を掲示した。70代の女性客は「コメは毎日食べている。これからどうしよう」と、不安を隠せない様子だ。

 23年産米の収穫量は例年並みだったが、高温により白濁したり、粒が割れたりする品質悪化で供給量が減った。ある大手スーパーは今年6月以降、在庫不足で特売を中止。別のスーパーは今月、前月比1~2割の大幅値上げに踏み切った。

 「訪日客の急増で、日本食の消費が拡大していることも価格の押し上げ要因だ」(コメ卸大手)との指摘もある。

 農林水産省が7月16日に発表したJAグループなどと卸売業者の6月の相対取引価格(速報値)は、玄米60キロ当たり前年同月比14%増の1万5865円と、約11年ぶりの高水準に達した。

 東京都中野区の伊藤精米店では、仕入れ価格の上昇により在庫の余裕がなくなり、新規の飲食店からの注文を断っている。店主の伊藤武夫さんは「来月には新米の流通が本格化し品薄は解消されるはずだが、仕入れ価格が下がる見込みは薄い」とため息をついた。