〝安い日本〟京都の宿泊客の7割は外国人!日本人には近くて遠い観光地になるのか?

AI要約

円安による恩恵を主に受けている観光業界において、京都市のホテルに宿泊する訪日客の割合が過去最高水準に達している。

宿泊料金の値上がりと日本物価の割安感が訪日客に影響を与えている一方、日本人にとってはハードルが高くなっている。

訪日客が増加している中、日本人観光客は極一部にとどまる状況である。

〝安い日本〟京都の宿泊客の7割は外国人!日本人には近くて遠い観光地になるのか?

 円安による恩恵を最も受けている業界の一つが観光だ。外国人に人気の目的地、京都市のホテルに宿泊するインバウンド(訪日客)の割合は過去最高の水準で推移している。4月には7割を超え、5~7月も6割以上の状態が続く。宿泊料金は値上がりしているが、円安により、訪日客にとって日本の物価は割安に映る。

 その半面、日本人には手が届きにくくなっている。利用をためらってしまうような料金になっていたり、泊まりたいホテルはすでに予約で満杯だったり。お目当ての観光地として支持されてきた京都は、日本人にとって〝近くて遠い存在〟になってしまうのだろうか。(共同通信=小林磨由子)

 ▽日本人はちらほら

 8月下旬、JR京都駅近くの高級ホテルを訪ねてみた。フロント近くから英語や中国語の会話が聞こえる。バイキング形式の朝食会場はほぼ満席。日本人の姿もちらほら見えたが、8~9割は訪日客のようだった。

 英語のガイドブックを片手にパンをほおばる男性、頭部にベールを着けた姿でコーヒーを飲む女性、大人数で食卓を囲む家族。それぞれが朝の時間を楽しんでいた。

 京都市観光協会が市内のホテル110軒以上を対象にした調査によると、4月の延べ宿泊数に占める訪日客の比率は70・1%。調査対象のホテル数は変わっているが、2014年の統計開始以降で最も高い割合となった。

 5、6月も6割を超え、7月は66・2%で4月に次ぐ高水準だった。国別でみると、4~6月はアメリカが最多で、2位は中国。7月には中国が3割を超えてトップになった。

 ▽宿泊料金はコロナ禍前に比べ3割高

 物価高や人件費の上昇などにより、ホテルの宿泊料金も上がっている。7月の平均客室単価は1泊1万8147円で、前年同月に比べると7・8%上がった。新型コロナウイルス禍前の2019年7月と比べると、29・9%も高い。ちなみに、今年4月の平均客室単価は2万4406円だった。

 それでも円相場が各国通貨に対して軒並み下落したことで、訪日客にとっては割安感がある。市観光協会でマーケティング部門を統括する堀江卓矢さんは「単価の高いホテルほど訪日客の宿泊比率が高い傾向にある」と話した。