デジタル人材の獲得競争激化 ジョブ型で初任給引き上げも 富士通は40万越え

AI要約

デジタル分野の人材獲得競争が激化し、企業はジョブ型雇用を導入して初任給を引き上げる動きが広がっている。

富士通やパナソニックなどが即戦力人材を獲得するために専門性を持つ学生に高額の初任給を用意する方針を示しており、競争が激化している。

日立製作所やソニーグループ、NECなどもジョブ型の人事制度を導入するなど、デジタル分野での人材採用競争が過熱している。

生成AI(人工知能)やソフトウエア開発などデジタル分野の人材獲得競争が激化している。事業の拡大を見据え、仕事の内容や役割に応じて処遇する「ジョブ型」雇用を新卒にも導入して、初任給を引き上げる動きが拡大。富士通は高度な専門性を持つ学生に40万円を超える初任給を出す制度を導入する方針で、業界内の人材獲得競争にますます拍車がかかりそうだ。

■即戦力人材が重要

「ビジネス環境の変化が激しい状況下では求められるジョブを担う即戦力人材を獲得することが重要だ」

ジョブ型を新卒にも広げる狙いについて、富士通人材採用センターの田中雄輝シニアマネージャーはこう説明する。

同社は令和8年度入社の新卒採用から、一律の初任給を廃止し、ジョブ型を本格導入する。大卒入社の場合、現在は初任給が26万4000円(7年度予定)だが、8年度から大半の新卒が31万円台~38万円台となり、40万円を超えるケースもあるという。

処遇は採用に直結しないインターンシップ(就業体験)の評価や、学生時代の研究成果などを踏まえて決定する。入社時から高度な専門性を持つ学生を優遇することで、優秀で多様な人材の獲得を目指す。

■最大で年収2割増し

パナソニックホールディングス傘下のパナソニックコネクトも一律の初任給を見直し、高度な専門人材などの初任給を1~2割引き上げる。7年春入社の新卒社員から試験的に開始し、8年春から本格導入する。新家伸浩最高人事責任者は「ソフト開発やAI技術など高いスキルを持つ人材や、学生時代にマネジメントを経験した人材を採用したい」と意気込む。

業界内では日立製作所がいち早く、グローバル共通でジョブ型の人事制度への転換に乗り出した。平成23年から本格導入し、職種や事業別の採用コースを設定するなど対応を進めてきた。3年春入社の新卒採用からデジタル人材に特化したコースも設置した。

ソニーグループも令和元年から新卒社員をジョブ型の対象に広げた。同社によると優れた人材は年収が最大2割増になるという。NECもグローバルでの競争力を強化するため、今年度の新卒採用からジョブマッチング制度を導入した。

■拡大続くDX市場