小児心臓血管外科医の「生涯育成プログラム」始動 人材育成へキャリア形成後押し

AI要約

日本小児循環器学会が小児心臓血管外科医の技術レベルを認定する新たな制度を導入している。

技術の習得に不安を抱く若手のキャリア形成を支援し、人材育成に繋げる狙い。

同学会の育成プログラムでは、技術レベルを明確化し、段階的に認定を行う仕組み。

61施設が参加予定で、指導医の評価や動画提出などを元に審査が行われる。

若手医師は不安を抱えながらも、プログラムに期待を持ち、明確なステップがキャリア形成をサポートすることに期待。

小児心臓血管外科医の「生涯育成プログラム」始動 人材育成へキャリア形成後押し

日本小児循環器学会が小児心臓血管外科医の技術レベルを認定する新たな制度の運用に乗り出している。幅広い術式を難易度別に分け、段階的に技術を身につけられる仕組みを導入。技術の習得に不安を抱く若手のキャリア形成を後押しし、人材の育成につなげる狙いがある。

■下積みの時代長く

小児心臓血管外科医は下積みの時代が長いとされる。将来への不安などから他の診療科に移る若手医師もおり、人材育成が課題となっていた。

同学会は先天性心疾患の外科医療の維持に向けて次世代育成委員会を設立し、昨年、小児心臓血管外科医の「生涯育成プログラム」を作成した。

同プログラムでは小児心臓血管外科医に求める技術や手術実績を難易度別に明示した。指導医が専門技術を磨く修練医の技量の到達度を評価し、同学会が技術レベルを審査・認定する。

レベル認定に当たっては指導医の評価のほか、手術時の動画提出や術後の経過などについて内科医の評価報告なども受けて審査を行う。61施設がプログラムに参加予定で、4月から一部施設で運用が始まっている。

同学会理事で福岡市立こども病院心臓血管外科の中野俊秀科長は「若手に目標を明確に与えると同時に、技術を客観的・公平に評価することで修練のモチベーションにもつながる。学会をあげて次世代を担う人材を育てていきたい」と語る。

■「不安が少し軽くなる」

「抱えている不安が、少し軽くなるかもしれない」。埼玉医科大国際医療センター(埼玉県日高市)小児心臓外科の細田隆介医師(37)は、生涯育成プログラムに期待を抱く。

小児心臓血管外科医として歩み始めて12年目。専門医として心臓病の子供らの治療を担う傍ら、修練医として研鑽(けんさん)を積む日々を送ってきた。

小児心臓血管外科医が扱う術式は400を超えるといわれる。技量を磨く毎日だが、「その手技をしっかりとものにできているのか自信が持てないときもある」という。先輩医師らの高度な手技をいつ学べるようになるのか、漠然とした不安も抱えてきた。

生涯育成プログラムでは、習得が必要な術式を難易度別に示し、段階的に技術レベルの審査・認定を行う。キャリア形成に向けたステップが「可視化されていることはわかりやすい」と細田医師は感じている。