半導体微細化に貢献…リンテック、EUVペリクル量産へ

AI要約

リンテックは次世代極端紫外線(EUV)露光装置用カーボンナノチューブ(CNT)ペリクルを開発し、サンプル提供を始めた。量産開始目指す。

ペリクルは半導体製造の露光生産性を高める防塵膜で、CNTは高温環境で安定した特性を持つ。

リンテックは25年度までに約50億円かけて、次世代ペリクルの第1次量産体制を敷く計画。三井化学も量産化を急ぐ。

リンテックは次世代極端紫外線(EUV)露光装置用カーボンナノチューブ(CNT)ペリクル(防塵膜)を開発しサンプル提供を始めた。数社に初期サンプルを出し、今後フィードバックをもらいながら2025年度の量産開始を目指す。次世代ペリクルをめぐっては、三井化学なども量産化を急ぐ。リンテックは回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の半導体製造に使う部材開発を通じて、生成人工知能(AI)など先端半導体市場の発展に貢献する。

ペリクルはフォトマスク(半導体回路原版)の表面に装着する薄い防塵膜で、半導体製造の前工程である露光の生産性を高められる。CNTは高温環境下でも化学変化や強度低下を起こしにくい特性を有する。

リンテックは米国テキサス州の研究開発拠点「ナノサイエンス&テクノロジーセンター」で作ったフルサイズの初期サンプルを提供し始めた。次の段階として日本国内で量産品質に近いサンプルを作り、順次提供していく。25年度までに約50億円をかけて、第1次の量産体制を敷く計画だ。

同社は24年初頭まで6年間、ベルギーの研究機関であるimec(アイメック)とEUV露光用CNTペリクルを共同研究してきた実績がある。その関連データを基に、現在、量産立ち上げを進めている。後工程材料に強い同社としては、前工程への新規参入で半導体関連事業の拡大を狙う。

次世代ペリクルをめぐっては、三井化学が岩国大竹工場(山口県和木町)に生産設備を導入し25年12月に完工予定。