電子マネーより「QRコード決済」が伸びてる理由、なぜ新紙幣発行も追い風になるのか?

AI要約

スマホのアプリなどを使ったQRコード決済の躍進で、従来型電子マネーの低調が鮮明になっている。新紙幣の発行をきっかけにキャッシュレス化が進むとの予想もあるが、今後はクレジットカードとQRコード決済でのシェア争いとなりそうだ。

現時点におけるキャッシュレス決済で最も高いシェアを占めているのはクレジットカードである。2023年におけるクレジットカードの決済額は105.7兆円となっており、キャッシュレス決済の8割以上をクレジットカードが占める。

QRコード決済はPayPayなど、各事業者が大規模なキャンペーンを実施したことや、導入の初期コストが安いことなどが重なり、急速に普及が進んでいる。

電子マネーより「QRコード決済」が伸びてる理由、なぜ新紙幣発行も追い風になるのか?

 スマホのアプリなどを使ったQRコード決済の躍進で、従来型電子マネーの低調が鮮明になっている。新紙幣の発行をきっかけにキャッシュレス化が進むとの予想もあるが、今後はクレジットカードとQRコード決済でのシェア争いとなりそうだ。

 現時点におけるキャッシュレス決済で最も高いシェアを占めているのはクレジットカードである。経済産業省の調査によると、2023年におけるクレジットカードの決済額は105.7兆円となっており、キャッシュレス決済の8割以上をクレジットカードが占める。

 次いで比率が高いのはSuicaや楽天Edyなど、いわゆる電子マネー決済だったが、QRコード決済が普及したことで状況が変わりつつある。キャッシュレス決済に占める電子マネーのシェアとQRコード決済のシェアは2022年以降逆転しており、現在ではQRコード決済が電子マネーを上回っている。2024年に入ってからはその傾向が顕著となっており、電子マネーの決済金額は毎月、前年比でマイナスが続いている状況だ。

 QRコード決済はPayPayなど、各事業者が大規模なキャンペーンを実施したことや、導入の初期コストが安いことなどが重なり、急速に普及が進んでいる。

 日本においてQRコード決済のサービス事業者が登場した当初は、国内での評価はかなり低かった。すでに電子マネー決済が相応に普及していたことや、仕組みが簡便であることからセキュリティ面での不安を口にする人も多かった。さらに言えば、中国や東南アジアで急速に普及しているという現状も、否定的な見解を増やす材料になっていたように見える。

 日本ではQRコード決済は普及しないと主張していた論者の多くは、中国や東南アジアはクレジットカードが未整備だったので、QRコードしか決済手段がなく、これが普及を後押ししたと分析していた。日本はクレジットカードのインフラが整っているので、そう簡単にQRコードには移行しないという理屈である。

 しかしながら、こうした見立ては、あくまで日本と中国・東南アジアを比較した議論に過ぎない。欧米各国と比較すると、日本のクレジットカードの普及率はかなり低く、現時点でもクレジットカードが使えない店舗が存在することで訪日外国人客の需要を取りこぼしているケースは枚挙にいとまがない。

 先進国を基準にグローバルで比較した場合、日本はどちらかというとクレジットカードのインフラがあまり整備されていな地域であり、これはQRコード決済が大きく普及する余地があることの裏返しでもある。