最低賃金16ドルのNYに、時給3ドルのレジ係が登場…アメリカで「地球の裏側のレジ係」が広がる理由

AI要約

アメリカで登場した「リモートレジ」が注目されており、遠隔地に住む人間が対応する新しいシステムが導入されている。

リモートレジは、フィリピンなど遠隔地に住む人々がビデオ通話を通じてレジ業務を担当し、支払い方法の説明や質問への対応を行う。

また、テーブルにもタッチスクリーン式注文端末が設置され、バーチャルアシスタントを呼び出して気軽に質問できる工夫もされている。

■AIではなく、遠隔地に住む人間が対応

 アメリカで登場した「リモートレジ」が話題を呼んでいる。レストランで食事を終えてレジへ向かうと、レジに係員はいない。代わりにディスプレイが据え付けられており、アメリカ国外にいる係員が画面内に登場する。

 係員はビデオ会議越しに、支払い方法の説明や質問への対応を担当。顧客は電子決済で支払いを済ませる。人件費の高騰を受け、フィリピンの人材を安価に活用する方法として注目されている。

 ニューヨーク市のクイーンズ区でからあげなどを振る舞う和風レストラン「サンサン・チキン」は、リモートレジを導入して話題を呼んでいる。ニューヨーク・タイムズ紙が店舗を訪れると、入り口に設置された画面越しに、フィリピンに住むバーチャルアシスタントが笑顔で迎えた。

 バーチャルアシスタントはAIの映像などではなく、遠隔地に住む人間のスタッフだ。訪れた顧客を案内するほか、フードデリバリーの注文対応、電話応対、ネットに投稿されたレビューの確認などを行う。物理的な金銭の授受が必要となることから、現金払いにこそ対応できない。しかし、現地ですでに浸透しているキャッシュレスでの支払いなど、レジ周りの業務を幅広くこなす。

 同紙によるとバーチャルアシスタントは今年4月時点で、同店のNYクイーンズ店やニュージャージー州のジャージーシティ店で導入されているほか、系列のサンサン・ラーメンや、中華料理店のヤソ・キッチンでも試験的に利用されている。ほか、ロングアイランドで少なくともこれ以外の中華料理店2店舗がこのサービスを導入している。昨年10月からテスト導入が始まった。

■レジだけでなく、各テーブルでもリモートで接客

 電子通信の専門メディアである英「UCトゥデイ」は、こうしたバーチャルアシスタントは入り口だけでなく、店舗によってはテーブルに備え付けのタッチスクリーン式注文端末にも登場する、として取り上げている。

 通常のレストランでは、注文に迷った場合、店員をつかまえておすすめを聞くことがある。とはいえ、注文や配膳で多忙にしている場合、気軽に声を掛けづらいこともあるだろう。バーチャルアシスタントの場合、画面越しのバーチャルアシスタントを呼び出し、気軽に質問をすることができるメリットがある。