日本政府はなぜ高齢者にばかり投資するのか、OECDが苦言。少子化が言い訳にならない理由

AI要約

OECDが公表した教育に関する報告書で、日本の教育費低迷と教育への投資不足が指摘された。

教育支出が少子高齢化の影響で社会保障などに振り分けられており、他国に比して教育費の割合が低い状況が明らかになった。

報告書では、子どもへの投資の重要性や、教育費の高額化、女性教師の割合が低い点などが指摘されている。

日本政府はなぜ高齢者にばかり投資するのか、OECDが苦言。少子化が言い訳にならない理由

9月10日、OECD(経済協力開発機構)が「図表でみる教育2024年版」を公表した。

同日に会見を開いたOECD教育スキル局長のアンドレアス・シュライヒャー氏は、かねてより指摘されてきた日本の政府支出における教育費の低さについて、改めて苦言を呈した。

「日本の公的支出における教育が占める割合は低く、下から3番目です(上図参照)。では日本が何にお金を使っているかというと、社会保障や健康、一般公共サービスです。日本は将来世代ではなく過去世代、高齢者に対してより多く投資しています。

背景として少子高齢化という人口構成の変化があるため、当然かもしれません。しかし、少子高齢化という意味で同じ傾向があるスイスの政府支出に占める教育の割合は、日本の2倍です。

あまりにも過度に高齢者を守ることにお金を使うのではなく、将来世代に対して投資をしていかなければなりません」(OECD教育スキル局長/アンドレアス・シュライヒャー氏)

シュライヒャー氏は、少子化が進む中でも子どもへの投資が重要な理由が2つあると言う。

「1つ目は、若者が減っていくからこそ、むしろ彼らに対する教育の『質』の改善をして、社会にしっかり貢献できるようにしていかなければなりません。

2つ目は、これまでの研究からエビデンスが上がっていることでもありますが、幼児教育や保育の質を改善することが、子どもを持とうという思いにつながり、その結果子どもの数が増えるからです」(アンドレアス・シュライヒャー氏)

教育費といえば、東京大学が授業料の値上げを検討しており、他の国立大学への議論の広がりが注目されている。

今回のレポートでは、日本の高等教育資金の約半分が家庭から拠出されており、OECD平均の19%よりもはるかに高い割合となっていることも指摘され、アンドレアス・シュライヒャー氏は「我々のデータによれば、日本の学費はすでに高い水準にある」とコメントした。

また日本がOECD諸国と比べて特に変わっている点として、

「日本はサウジアラビアに次いで、教員に占める女性の割合が低い。初等教育や中等教育ではそこそこいたとしても、高等教育になると女性教師の割合が非常に低くなっています」(アンドレアス・シュライヒャー氏)

とした。