人気のコンサル業界、ケース面接「日本における銃規制を撤廃すべきか否か、考えよ」どう答える? 面接官から評価される説明の方法

AI要約

コンサル業界の入社試験であるケース面接について紹介。問題解決力や思考力を測る重要な試験である。

ケース面接の回答手順を詳細に紹介。問題設定から解決策の提案までのステップを説明。

具体的なケース面接問題に挑戦し、解答例を通じて考え方や判断軸について解説。

人気のコンサル業界、ケース面接「日本における銃規制を撤廃すべきか否か、考えよ」どう答える? 面接官から評価される説明の方法

 今、就活市場で人気が高いコンサル業界には「フェルミ推定」や「ケース面接」と呼ばれる独特の入社試験がある。志望者の問題解決力や地頭力を測る試験だ。新刊『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』は、大手コンサルティングファームの入社試験に対して、現役コンサルタントや内定者の解答を集約した画期的な1冊だ。本稿では「ケース面接の例題と解答例」について、本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

● 「問題解決の思考力」を測る入社試験

 ケース面接はコンサルティングファームの入社試験で必ず出題されるタイプの面接で、「問題解決の思考力」を測るためのものです。

 面接官からは、企業や政府・自治体が抱える問題を提示され、あなたはこの問題を解決する打ち手を検討していきます。

 次の回答のステップを頭に入れて、ケース面接問題に取り組むことで、問題解決において最も重要な「論点を設定して仮説を立てながら思考する力」が身につきます。

 【ケース面接回答の手順】

ステップ1:クライアントの解像度を上げて、イメージを共有する

ステップ2:「問題」を「課題」に落とし込む

ステップ3:本質的な課題を特定する

ステップ4:打ち手を洗い出し、優先順位を付ける

ステップ5:提案内容を整理し、総括する

 では、次のケース面接問題に挑戦してみましょう。

● コンサルの入社試験に挑戦!

 面接官:

日本における銃規制を撤廃すべきか否か、考えてください。

 【回答のヒント】

 ・銃規制撤廃の検討主体を明確にしましょう(政府、企業、個人など)。

 ・銃規制撤廃の様々な影響について、客観的に情報を整理しましょう。

 ・銃規制を撤廃すべきか否かの意思決定において、何を重視するかの判断軸を定めて、自分の考えを主張しましょう。

 回答のポイント:判断軸を定め、客観的に情報を整理して結論を出す

最初から自分の考えを主張せず、まずは客観的に情報を整理し、異なる意見も考慮しましょう。

 以下が解答例です。

 ※ケ―ス面接の答えは1つに定まるものではありません。提案内容が皆さんの考えと大きく異なる場合もあると思いますが、その際は思考の深さや提案内容の具体性を見比べて自己評価してみてください。

● 検討主体を決め、銃社会のメリットとデメリットを整理する

 私は今回、個人としての意見を述べるのではなく、多様な人々の意見を考慮しなければならない「政府」の立場で、銃規制を撤廃すべきか否かについて検討したいと思います。

 まず、銃規制を撤廃することのメリットとデメリットについて、政府・企業・国民の視点からそれぞれ整理してみます。

 政府としては、銃関連産業(製品製造、部品製造、素材開発など)の創造・発展は日本の経済にプラスに働く一方で、治安の悪化に伴う警察機能の強化などの負担が発生するリスクがあります。

 企業としては、国内における銃関連市場が拡大することで、新しい事業機会が生まれるほか、銃(製品や部品、素材など)の開発から得た技術を他製品に転用できる可能性もあります。一方で、安全対策や新たな研究開発に関する投資やコストは必要となります。

 国民としては、銃を所持することで自己防衛能力は向上しますが、現状の警察機能が相対的に低下してしまうリスクも考慮すると、自分の身は自分で守らねばならなくなると考えられます。また、銃を使用した犯罪も発生することが予想され、被害の深刻化も懸念されます。

● 判断軸を定め、異なる意見への考えも考慮して結論を出す

 政府の立場で検討する以上、私は、銃関連産業の創造や発展に伴う経済効果よりも、「国民の安心安全な暮らしの維持」が重要であると考えます。

 仮に銃規制を撤廃した場合、銃を使用した犯罪の発生を未然に防ぐことは難しく、国民は自己防衛に努めなければならないと不安を抱えながら生活することを余儀なくされます。

 また、日本全体の経済効果の観点についても、確かに銃関連産業の発展による効果は考えられますが、治安の悪化による経済損失や警察機能の強化といった政府の負担拡大などを考慮すれば、必ずしもプラスになるとは言えないでしょう。

 したがって私は、政府として銃規制を撤廃すべきではないと主張します。以上となります。ありがとうございました。

● 面接官からの質問

 ――アメリカでは銃を使用した犯罪がしばしば発生しますが、なぜ銃規制はなされないのでしょうか?

 個人的な意見になりますが、「個人の権利」と「精神的なハードル」があるのではないでしょうか。

 すなわち、国民が既に銃を所持している状態から銃規制を実施することは、銃を所持するという個人の権利を奪うことになります。

 また私は、現在所持している銃を全て回収することは現実的ではないように感じており、銃規制がなされたとしても形骸化する恐れがあると推測します。

 そして、国民としてはやはり銃を所持して自己防衛力を維持しておきたいと考える人が多く、精神的なハードルも高いと考えます。

 ――仮に、銃規制を撤廃すべきと主張する場合、どのような視点があると思いますか?

 将来における治安悪化のリスクという視点があると思います。

 私は今回、「警察が十分機能し、治安が良い」という前提で、国民は銃を所持していない方が安心安全に暮らすことができるという考えを主張しました。

 しかし、他国との関係悪化や経済不況に伴う犯罪率の増加などで、日本国内の治安が著しく悪化した場合、国民の自己防衛に対する需要は高まると考えられます。

 ――銃社会に移行するタイミングで発生しそうな課題は思いつきますか?

 経済的理由から銃を購入できない人や障害を持っていて銃を操作できない人などへの対応が挙げられます。自己防衛能力に大きな差が出ないよう政府による適切な支援も求められるでしょう。

 (本稿は『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』から一部を抜粋・編集したものです)