中小企業勤めの40代です。大企業の「賃上げニュース」を目にしますが、中小企業は”賃上げ”されないのでしょうか?

AI要約

中小企業の賃上げ率が大企業を下回っており、賃上げの実現が難しい状況にある。

原材料価格やコスト増加の影響が大きく、価格転嫁が難しい状況が続いている。

中小企業向けの公的支援が用意されており、設備投資や補助金制度などが賃上げを支援している。

中小企業勤めの40代です。大企業の「賃上げニュース」を目にしますが、中小企業は”賃上げ”されないのでしょうか?

大企業の賃上げニュースをよく見かけますが、雇用全体の7割である中小企業の賃上げ率の平均はそれを下回っています。中小企業勤めのご相談者さまも、賃上げがされない現状に悔しさをにじませています。中小企業の賃上げは実現しないのか、税政策などを見ながら確認してみましょう。

日本経済団体連合会が報告した「2024年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況」によれば、大企業の賃上げ率は前年比+1.67ポイントの5.58%でした。一方、従業員300人未満の中小企業の平均賃上げ率は4.66%です。

さらに東京商工会議所の報告では、従業員20人以下の企業の平均賃上げ率は3.88%となっています。

東京商工会議所が2023年に実施した賃上げに関するアンケートから、賃上げに至らない理由として、コスト増加分を価格転嫁できないことが上がっています。特に、最近の円安もあって、海外から調達してくる原材料価格や電気代・燃料代が高騰しています。

こうしたコスト負担を価格に上乗せすると、広告宣伝パワーや顧客層で大企業にはかなわない中小企業は売り上げ減少を引き起こしてしまうためと考えられています。売り上げ増が達成できなければ、賃上げにも結びつきません。

だからといって、手をこまねいていては、人材の確保に支障をきたすことになります。ただ、中小企業自身が100%の負担を負って賃上げに取り組むには限界があります。さまざまな公的支援が用意されています。

例えば、最近スーパーなどでも見られるようになったお掃除ロボットや物流倉庫での無人搬送車のような人手不足を補う設備・機械などをカタログから選択して導入することで設備投資を簡易化するものや、賃上げ基準を達成すると補助金の上限が引き上げられる(上限あり)などの支援事業を展開しています。

中小企業省力化投資補助事業の概要

賃上げ要件を達成した場合、( )内の値に補助上限額を引き上げ

(出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構ホームページ)