「やりたくない仕事」は脳細胞をどんどん破壊する…脳科学者が説く"簡単に転職できない人"のための労働のススメ

AI要約

脳科学者の岩崎一郎さんによると、苦しくてもがんばっていると脳の健康を損ねることがある。脳はネガティブ思考になるように設計されており、ネガティブバイアスが働く。

仕事で心が疲弊するのは、「FF状態」になっている状態である。この状態が慢性化すると脳の健康を損ね、脳細胞が破壊されることもある。

つらい状況にいる人が心が弱いわけではなく、集合知性を活かして皆で協力し、フロー状態で楽しく仕事をすることが望ましい。リーダーが集合知性を引き出し、社会に貢献する職場を増やしていくことが重要だ。

仕事がつらいとき、どうすれば心がラクになるのか。脳科学者の岩崎一郎さんは「苦しくてもがんばっていると、実際に脳の健康を損ねてしまう。つらいのは決して『根性がないから』ではない」という――。

 ※本稿は、岩崎一郎『30日で人生がうまくいきだす脳の習慣』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

■脳はネガティブ思考になるよう設計されている

 「仕事で心が疲弊してしまう」

 最近よく聞くようになりました。

 それはいまの世代の人たちの心が弱いとか、精神力がないということではありません。

 苦しくてもがんばるという状態が慢性化すると、実際に脳の健康を損ねるのです。そして、うつになることもあると脳科学で解明されてきました。

 脳には、危険なものなどの自分にとってよくないものをキャッチしたり、物事を悪いほうに捉えようとしたりする「ネガティブバイアス」が備わっています。

 この特性は、もともとは過酷な環境の中で人類が生き延びていくために必要なものでした。

 そして人は危険なものを察知すると、「Fight or Flight状態」、略して「FF状態」になります。

 Fightは闘う、Flightは飛ぶ。要は、危険を察知すると「全力で闘う」か「一目散に逃げるか」のどちらかを選ぶのです。

 この苦しくてもがんばる状態は、脳が「FF状態」になっています。

 たしかに一過性の力は発揮できるのですが、非常に苦しい状態です。

 FF状態が慢性的になると脳の健康を損ね、脳細胞が破壊されることにもなります。

■つらいのは「根性がない」のではない

 たとえば、パワハラ的な人がいて、その人の顔を見るのもつらくなることがあります。思い出すだけでトラウマ反応を起こして、体が震えたり、涙が止まらなくなったりといったことがあります。

 これは、FF状態に追い込まれているということ。

 繰り返しになりますが、それはけっして心が弱いとか根性がないとかということではないのです。

 人間は本来、皆で心をひとつにして助け合いながらより高みを目指すことをしていくと、フロー状態に入り、すごいパフォーマンスが発揮できるのです。

 それを「集合知性」といいます。「集合知性」は皆でフローに入っている状態です。

 そういう集合知性が発揮できるようなリーダーがどんどん世の中に育ってきて、「今日も仕事に行くのが楽しい」という人が増えきてほしいものです。

 そして、力を合わせて社会に貢献していく、素晴らしいものを提供していく、そういう職場が世の中にもっともっと増えてくれたらと願っています。