Z世代のメンタルヘルスに異変、最も幸福を感じない世代に ソーシャルメディアの影響も

AI要約

人生の幸福度は従来のU字カーブの理論が変化しつつある。中年層ではストレスが多く幸福度が低下するが、最新の研究では若者層の幸福度も低下しており、特に18歳から25歳の若者で不幸せを感じる傾向が顕著になっている。

若者層の幸福度低下はパンデミックの影響ではなく、スマートフォンやソーシャルメディアの普及が関係している可能性が指摘されている。

特に若い女性の心理的な問題が深刻で、絶望する若い女性の割合も増加している。今後の対策が必要とされている。

Z世代のメンタルヘルスに異変、最も幸福を感じない世代に ソーシャルメディアの影響も

従来、人生の幸福度は「U字カーブ」を描くものとされてきたが、最新の研究では若年層の幸福度が大きく低下していることが判明。長年の定説が覆されつつある。

人生における幸福度は子どものころから徐々にU字カーブを描いて推移し、40代から50歳前後で最低値になったのち、再び上昇するとされている。

中年が幸福度を感じられないのは、この年齢になるとティーンエージャーの子育てや両親の世話、仕事などでさまざまなことが重なり自分の思うような生活が送れない、ストレスの多い状況を迎えることが多いからだとされている。その後、子どもが独り立ちし、仕事でも要職に就くなどして落ち着きが得られると徐々に自分のやりたいことができるようになり、幸福度がアップするというもの。

このU字カーブには別の定説もあり、30歳をピークに50歳が底辺という見方も。いずれにせよ、50歳前後がボトムとなり、いわゆるミッドライフ・クライシス(中年の危機)というのは実在することは確実にわかっている。

ところが、ダートマス大学のデビット・ブランチフラワー教授らの最新の調査では、18歳から25歳の若者層で幸福度の低下が顕著に見られ、40代や50代の中年層よりも「不幸せだ」と感じている傾向が明らかになった。当初この傾向はアメリカ特有の傾向ではないかと見られていたものの、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドのデータでも裏付けられ、世界各国で同様の傾向が見られることがわかり教授らも衝撃を受けていると語っている。

同調査では、アメリカの疾病予防管理センターの行動因子要因サーベイランスシステムのデータを分析し、特に30日間以上の「ストレス、うつ、情緒面の問題」を経験した、と回答した参加者にフォーカス。自殺や絶望死の恐れなどがある極端な例については、集中的に対処する必要があるとしている。教授らの調査では、2023年の時点で既に「今年メンタルへスルの状態が悪い日が最頻発した」と回答した18歳から25歳の若者の数の増加率が過去最大に達し、特に若い女性に心配な傾向が見られるとのこと。教授の見積もりでは11%の若い女性が絶望しているという衝撃の数字もある。

同教授は、この傾向の直接的な原因は特定できないとしながらも、少なくともこの傾向はパンデミック以前から見られ、コロナ禍の影響ではないとしている。また同時に、一つの要因として考えられるのはスマートフォンとソーシャルメディアの普及で、幸福度の低下が見られた2014年頃と年が合致している。