「今年はバブルです」コメ高騰 現場は廃業続出&若手不足 燃料代高騰「毎日8万円」
コメ不足に伴う価格の高騰で消費者への影響が続いている。
コメの生産現場では倒産や廃業が急増しており、農家たちにとって厳しい状況が続いている。
一方で、新米を求める消費者たちの動きは活発で、各地で行列ができるなどしている。
また、JAによる生産者への支払い前払い金の引き上げが行われ、生産者たちの収入向上につながっている。
しかし、一部の農家は依然として厳しい経営状況が続いており、コメの価格が上がったとしても安定的な状況が続くかは不透明である。
燃料代の上昇やコンバインの価格の上昇など、コメ作りにかかる負担はますます増加している。
コメ不足に伴う価格の高騰で消費者への影響が続いています。また、コメの生産現場では倒産や廃業が急増しています。
片桐農園 片桐光江さん
「本日90袋入っているので、並んでいる人は十分購入できると思うが、これから来られるお客様にも渡りますようご協力お願いいたします」
北海道長沼町にあるコメ農家の直売所。9日、朝早くから新米を求める行列ができていました。
新米を買いに来た客
「やっぱりコメは大事。コメがあれば品数少なくても人間満足する」
「自宅にあるコメが少なくなってきたので、早めに手あてしようと」
開店から1時間。90袋あった新米はあっという間に売り切れました。
徐々にコメ不足は解消しつつありますが、全国各地で新米を求める動きは続いています。
各県のJAは、コメを買い取る際に生産者に支払う前払い金「概算金」の引き上げを決めていますが、生産者はどのように受け止めているのでしょうか?
つばめ農園 布施俊章社長
「もうみんな目が輝いちゃった。すごくうれしかった」
千葉県市原市で「コシヒカリ」などを生産している布施さん。市原市のJAは先月、コシヒカリの一等米、60キロあたりに対する概算金を前年から6500円アップした2万円にすることにしました。
布施さんはJAと取引していませんが、コメの販売価格は概算金をもとに決まるため、自身のコメについても値上げすることができました。
布施社長
「2万円は自分が農業をやっている間にはならないと思っていた」
一方で、概算金の高値は「今年だけなのでは」とみています。
布施社長
「去年は新潟で(品質低下により)二等米・三等米が出たため影響あったかもしれない。今年は多分、全国的にそういう被害もなさそうなので、コメは余っていくと思われる。コメが余れ農協も(概算金を)下げてくると思う。(今回は)“バブル”ですよね」
そもそも、これまでのコメの価格が安すぎたと話す布施さん。収入が上がらないことなどが原因で、自身の周りでも近く、2つのコメ農家が廃業するといいます。
帝国データバンクによりますと、去年は35件のコメ農家が廃業。今年は8月時点で廃業農家は34件に達していて、過去最多となる見込みです。
布施さんの農園も借金が続き、厳しい経営状態が続いています。
布施さん
「苦しいのは、燃料・電気代。コンバインと乾燥・調整の燃料代だけで8万円くらい毎日飛んでますね」
燃料代は去年と比べて年間で75万円上昇。稲刈りに欠かせないコンバインも10年ほど前と比べて価格がおよそ600万円上がるなど、コメ作りを巡る環境は厳しさを増すばかりです。
布施さんは生き残りをかけ、去年から輸出用のコメを育てて販路を拡大していますが、こうとも話します。
布施さん
「ここである程度米価が上がれば、返済の方も回せるので。これが1年だけではなく、何年か続いてほしい」