〔NY外為〕円、161円台前半(9日)

AI要約

パウエルFRB議長の証言を受けて円安・ドル高の動きが加速し、円相場は1ドル=161円台前半に下落。

市場はパウエル氏の発言から利下げ期待が低く、米長期金利の上昇を受けてドルが買われた。

ただし、インフレ指標によっては9月の利下げが期待される状況もあり、市場は議長の発言を警戒している。

 【ニューヨーク時事】9日のニューヨーク外国為替市場では、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言をきっかけに、円売り・ドル買いが優勢となり、円相場は1ドル=161円台前半に下落した。午後5時現在は161円26~36銭と、前日同時刻(160円79~89銭)比47銭の円安・ドル高。

 パウエルFRB議長はこの日、上院銀行委員会での証言で、「インフレが2%の目標に向かって持続的に低下するとの確信をさらに得るまで利下げが適切とは思わない」と強調した。一方で「可能性は低い」としながらも、「次の政策の動きは利上げであることは排除しない」と発言したことから、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げ決定をある程度織り込んでいた市場にとって、パウエル氏の発言は予想外のタカ派と受け止められた。これを受け、米長期金利は上昇。円売り・ドル買いの動きが加速し、円は一時161円52銭まで下落した。

 ただパウエル氏は、インフレ減速を示す指標がさらに続けば「(持続的なインフレ低下への)確信が強まる」との見解も表明。質疑応答が進むと発言全体としてはさほどタカ派的でないと受け止める向きもあり、改めて9月利下げの見方が台頭。11日に発表される6月の米消費者物価指数(CPI)を控えた慎重姿勢もあり、午後には円の買い戻しも入った。

 ユーロは同時刻現在、対ドルで1ユーロ=1.0809~0819ドル(前日午後5時は1.0819~0829ドル)、対円では同174円38~48銭(同174円01~11銭)と、37銭の円安・ユーロ高。