企業の想定為替レートは平均1ドル140.88円、前年より13円27銭の円安想定

AI要約

日本銀行が17年ぶりに政策金利引き上げを行いながらも円安が続いている。企業の想定為替レート調査では、平均1ドル140.88円という大幅な円安水準が明らかになった。

企業の24.7%が「146~150円」を想定しており、為替レートの分布を見ると130円台後半以上を想定する企業が7割以上を占めている。円安が企業業績にプラスの影響を及ぼす一方、物価高騰からマイナスの影響も見られた。

業界ごとに見ると、農業・林業・水産業が最も円安であり、不動産が円高を想定していることが分かる。輸出企業と輸入企業では、輸入企業が1.45円ほど円安を見込んでおり、企業規模が大きくなるほど円安を想定する傾向があった。

企業の想定為替レートは平均1ドル140.88円、前年より13円27銭の円安想定

 日本銀行は3月19日に17年ぶりに政策金利の引き上げを行ったが、円安は続いている。帝国データバンク(東京都港区)は、企業の設定(想定)為替レートについて調査を実施した。5月時点での企業の想定為替レートは、平均1ドル140.88円(以下、1ドル当たりの円レート)となり、前年4月の127.61円から13円27銭安と、大幅な円安水準を想定していることが分かった。

 中央値は145円、最頻値は150円。想定為替レートの分布をみると最も割合が高かったのは「146~150円」で、企業の24.7%が回答した。次いで「156円~」(13.9%)、「141~145円」(11.4%)、「151~155円」(11.1%)、「136~140円」(11.0%)が10%台で、130円台後半以上を想定する企業が7割を超えた。

 企業からは「企業業績としては為替が追い風となる」(135円、ゴムベルト製造)、「インバウンド訪日客の増加でにぎわいがある」(150円、損害保険代理)など、円安の好影響を受けた意見がみられた。一方で、「円安による価格の高騰、販売価格の上昇にともなう販売数量の減少で利幅、売上高とも減少」(112円、家庭用電気機械器具卸売)といった、物価高騰が悪い方に作用したという声も挙がった。

 想定為替レートを業界別にみると、最も円安だったのは「農・林・水産」(147.59円)、次いで「卸売」(144.30円)、「製造」(141.09円)、「金融」(140.44円)と、これらが140円台を想定していた。一方、「不動産」は131.71円と130円台前半にみていることが分かった。最も円安水準の「農・林・水産」と、円高水準の「不動産」には、15.88円の差があった。

 輸出入別にみると、事業として直接または間接的に「輸出」を行っている企業では143.11円、「輸入」を行っている企業では144.56円という結果になり、輸入企業は輸出企業より1.45円程度円安の水準を想定していた。特に「直接輸入のみ」(145.89円)の企業は、「直接輸出のみ」(141.98円)の企業よりも3.91円程度の円安の水準を想定しているようだ。

 企業規模別で見ると「大企業」は144.16円、「中小企業」は141.54円、中小企業のうち「小規模企業」は138.14円と、規模が大きくなるほど円安を想定する傾向が見られた。また「直接輸入のみ」を行っている企業では、「大企業」(146.22円)は「小規模企業」(142.98円)よりも3.24円の円安水準を想定していた。