知ってはいけない、世界の《残酷な常識》日本人は知らない…西エリートたちが決めているヨーロッパの「意外な序列」専門家が解説

AI要約

日本人が他国から謙虚さを学ぶべきであると主張される記事。スイスの厳格な国籍ポリシーやハンガリーの自己主張を取り上げ、日本人のあり方について考察。

ヨーロッパの国々や日本の政治姿勢を比較し、自国の国益を守る意識や姿勢を持つことの重要性が説かれる。

さらに、LGBT権利を巡るハンガリーと欧州の対立に触れ、スポーツイベントでの政治利用や対立の深刻さについて言及。

知ってはいけない、世界の《残酷な常識》日本人は知らない…西エリートたちが決めているヨーロッパの「意外な序列」専門家が解説

日本人は外国人に褒められると無邪気に喜ぶ。本当にそう思っているなら、ただの間抜けだ。褒められるというのは舐められているのと変わらない。日本人は、スイスの狡さ、ハンガリーのしぶとさを見習え!

スイスは平和国家のイメージを身にまといながら、やっていることはけっこうエグい。ハンガリーは西ヨーロッパのエリート国から恫喝されても動じることなく独自路線を歩んでいる。日本もこれらの国々の「自負と独立心」を学んだほうがいい。

ドイツ在住のベストセラー作家・川口マーン惠美氏と青山学院大学教授・福井義高氏が、日本人が気づこうとしない残酷なまでの「世界の真実」について語り合う。

※本記事は、『優しい日本人が気づかない 残酷な世界の本音―移民・難民で苦しむ欧州から、宇露戦争、ハマス奇襲まで』より一部を抜粋編集したものです。

福井義高(以下福井):スイスは他のヨーロッパ諸国に比べて国籍は与えないようにしており、スイス生まれであっても、多くが外国籍のままです。外国人労働者はあくまでゲスト、ドイツ語でいう「ガストアルバイター」(Gastarbiter)ということでしょう。

内陸国であるスイスは当然ながら陸軍国です。装備にカネがかかる代わりに兵員は少なくてすむ海・空軍と異なり、陸戦は要するに陣取り合戦なので、多くの兵士が必要です。

だから、欧州諸国はだいたい徴兵制だったのに対し、海軍国のイギリスでは陸軍の規模は小さく、戦時以外は志願制でした。イギリスは基本的に本土決戦を想定しておらず、そうなったら終わりと考え、海軍力で本土に敵が来る前に撃退するという戦略です。

イギリス同様、海に囲まれた日本もそうあるべきですが、専守防衛という空虚な建前を取っているため、陸上自衛隊は本土で戦う前提の体制となっています。本当にそうなったら国民は悲惨な目に合うでしょう。実際には、自衛隊も含め誰も本土で戦うことなど考えていないのでしょうが。

それにしても、自国のあり方への自負と独立心、他国から悪口を言われても平然としている傲慢さはあっぱれというか、すがすがしい。一方、他国もその中立性への信頼から、公平な第三者としてスイスを評価しています。

日本人がスイスから学ぶとしたら、一般に流布した平和国家のイメージに惑わされることなく、その唯我独尊(ゆいがどくそん)で狡いところでしょう。

川口マーン惠美(以下川口):スイスを見習えと聞いて私もそうだと思いますが、もう一国挙げるとすればハンガリーです。エネルギーに関しては、フランスの原発政策も手本にできるし。

日本が自分の国益をはっきり言えないのは軍事力がないせいにしますが、軍事力がなくても、ハンガリーのオルバン首相は言いたいことをはっきり言っています。そしてその際に必ず、自分の義務は国民と国家経済を守ることだとはっきりと言います。

EU諸国が一斉にロシアに制裁したときも、ロシアガスの制裁は、ハンガリーの産業の壊滅を意味するから、できないと堂々と発言している。これについて、ハンガリーはEUの足並みを乱すと文句を言う国もあったけれど、でも、この理由は皆、認めざるをえないでしょう。

日本の政治家もいざというときには、自分には国民を守る義務があると言ってほしい。もし、それにアメリカが仕返しをするようなことがあれば、さすがの日本人も少しは考えるでしょう。

福井:ハンガリーほど西ヨーロッパのエリートに嫌われている国はありませんね(笑)。日本人は外国人に褒められると喜びますが、本気でそう思っているなら、ただの間抜けです。褒められるというのは舐められているのと紙一重というか、同じことだと思ったほうがいい。

川口:ドイツ人も似たところがありますね。自画自賛もすごい。日本人は自画自賛をあまりしませんが、ドイツ人は褒められることも好きだし、自画自賛も好き。

福井:ハンガリーは独裁国家だと思われているでしょう。そしてLGBTにも反対しているけしからん国だと。

川口:ただ、ハンガリーの場合、同性愛カップルはパートナー契約を結べますから、禁止されているわけでも何でもない。パートナー契約は結婚とほぼ同じですから、他の国の状況とほとんど変わりません。

EU委員会がハンガリーを批判する理由は、18歳以下の人も見るテレビや雑誌などでは、同性愛のシーンや性転換に関する情報を流してはいけないという法案をオルバン首相が通したからですが、彼に言わせれば青少年を守るためにしたことです。

福井:一方、子供のうちから同性愛やトランスジェンダーに対する肯定的な考えを育てていかなければならないといのが欧米の風潮ですからね。

川口:2021年のサッカーの欧州選手権で、試合会場となったミュンヘンのアリアンツ・アレーナを、性の多様性を象徴するレインボーカラーに点灯することを、ミュンヘン市が欧州サッカー連盟(UEFA)に要請したことがありました。

というのも、その夜、ハンガリーとの試合だったので、LGBT抑圧に対する抗議という名の、私に言わせれば嫌がらせです。

ただ、UEFAは、スポーツに政治を持ち込んではいけないという理由でミュンヘン市の提案を拒否しました。すると、フランクフルトとケルンのチームが、自分たちのスタジアムをレインボーにライトアップして、ミュンヘンの代わりに抗議の意を表明したのです。

それにしても、ハンガリーのサッカー選手が別にLGBTに反対しているわけでもないし、曲がりなりにも遠征してきたお客さんですよ。お客に対してこういう嫌がらせをするという発想が、私にはまったくわかりません。

いずれにしても、ドイツやEU委員会のハンガリー叩きは常軌を逸していますが、また、それを受けるハンガリーもかなりしぶとい。