トヨタもマツダも三菱も… 日本車の“牙城”東南アジアが「中国製EV」に奪われる

AI要約

日本メーカーがタイの自動車市場で中国勢に激しい追撃を受けている。EV化で後れを取ることが最大の要因だ。

日本企業がタイの自動車産業を築き上げ、1970年代までにタイ市場の9割を占めるも、中国勢の参入に牙城が揺らいでいる。

中国メーカーは手頃な価格の電気自動車を提供し、日本メーカーを脅かしており、日本側に危機感を抱かせている。

トヨタもマツダも三菱も… 日本車の“牙城”東南アジアが「中国製EV」に奪われる

過去半世紀にわたりタイの自動車市場を独占してきた日本メーカーだが、ここにきてBYDをはじめとする中国勢の激しい追撃に遭っている。日本車の牙城が切り崩されている最大の要因は、EV化で後れをとっているからだ。

第二次世界大戦後、日本企業はタイの自動車産業をほぼゼロから築き上げ、日本車のシェアは1970年代後半までに、タイ市場の約9割を占めるまでになっていた。日本企業はタイのサプライチェーン構築にも投資し、信頼性の高い日本車は顧客の間で評判だった。

1990年代には、米国や韓国の自動車メーカーもタイ市場への参入に挑んだが、日本のシェアに食い込むことはできなかった。

ところがいま、手頃な価格の電気自動車(EV)を提供する中国メーカーが、ついに日本車の牙城を切り崩そうとしている。

比亜迪(BYD)、長城汽車、上海汽車集団といった中国勢がこの2年でタイ市場に相次いで参入し、日本メーカーの間で危機感が高まっているのだ。

2023年12月に来日したタイのセター・タウィーシン首相は、日本企業に電気自動車への投資を加速するよう呼びかけ、このままでは中国に市場を奪われてしまうと警鐘を鳴らした。

セターは日本メディアのインタビューで、「世界には、あなた方以外の自動車メーカーも存在しているのです」と、日本の自動車メーカーに忠告した。

タイでは電気自動車の人気が高まっており、EV化に及び腰の日本企業はタイ市場で後れをとっている。マツダ、三菱、日産、スズキ、いすゞの5社が大打撃を受けており、その要因の一つが、プラグインハイブリッド車や完全電気自動車の品ぞろえの乏しさだ。

自動車情報を提供するマークラインズの調べによると、2023年、タイにおける新車販売台数が9%減少するなかで、上記5社の新車販売台数は合わせて25%も減少した。