ウクライナの越境攻撃、目的は「緩衝地帯」の設置 ゼレンスキー氏が説明

AI要約

ウクライナ軍はクルスク州に侵攻し、ロシア軍との緊張を高めている。ウクライナは緩衝地帯を設置することでロシア軍の越境攻撃に対抗している。

ウクライナ軍はロシアの戦力を破壊し、反撃行動を取るために動いており、ロシアの兵站能力を妨げる取り組みを行っている。

クルスク州での戦闘が激化し、住民に避難を促す状況になっている。地元幹部は住民に安全な時期に帰還するよう警告している。

ウクライナの越境攻撃、目的は「緩衝地帯」の設置 ゼレンスキー氏が説明

(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領は18日、ウクライナ軍によるロシア南西部クルスク州への侵攻について、ロシア軍からの越境攻撃を防ぐための「緩衝地帯」を設置することが目的だと述べた。ウクライナ軍は同日、クルスク州で、二つ目の橋を破壊した。

ウクライナ軍は約2週間前に驚きの越境攻撃を開始して以降、クルスク州でじりじりと前進を続けている。だが、ウクライナは同国東部でロシア軍の圧力にさらされており、ロシア軍はウクライナにとっての軍事的要衝へ向かっている。

ウクライナの越境攻撃により、ロシア側は自国内の防衛の強化に苦慮している。ウクライナ政府にとって今回の越境攻撃には、士気の向上やロシア軍の人的・物的資源への圧力など複数の目標がありそうだ。ウクライナ大統領の側近は越境攻撃について、「公正な」交渉過程を確保するためのものだと説明している。

ゼレンスキー氏は18日、今回の越境攻撃の戦略的目標に初めて言及し、「現在、防衛作戦全体におけるウクライナ軍の主要な任務は、可能な限りロシアの戦力を破壊し、最大限の反撃行動を取ることだ」と説明した。

ゼレンスキー氏によれば、そうした取り組みのなかには、ロシア領内に緩衝地帯を設けることが含まれている。

ゼレンスキー氏は「ロシア軍やロシア国家、ロシアの軍産複合体、ロシア経済に損失を与えるものはすべて、戦争の拡大を防ぎ、ウクライナがこの侵略の正しい終結に近づくことに役立つ」と述べた。

ゼレンスキー氏は、ウクライナ軍が自陣を強化してクルスク州での足場はより強固になったと述べた。ウクライナ政府は、ロシア領約1000平方キロを支配下に置いたと主張している。ロシアもウクライナも激しい戦闘が継続している地域から避難するよう住民に呼び掛けている。

ロシア軍の兵站(へいたん)能力をまひさせ補給路を分断する取り組みの一環として、ウクライナ軍は18日、クルスク州のセイム川に架かる橋を爆破した。ウクライナ軍は2日前にもセイム川に架かる別の橋を爆破していた。

ウクライナの監視グループ「ディープステート」によれば、ウクライナ軍はクルスク州でさらに前進を続けている。同グループが提供し、CNNが位置を特定した画像によれば、ウクライナ軍の戦車はクルスク州スジャの北約20キロに位置するオルゴフカの集落にいる。

ウクライナ軍当局者によれば、ウクライナ軍は先週、スジャを支配下に置き、同地に司令部を設置した。

ロシアはクルスク州の領土を失ったことに対処すべく、占領下のウクライナの前線から数千人の兵士を移転させたとみられる。

戦闘によって避難した住民に対しては戻らないよう警告が出されている。

クルスク州コレネフスキー地区の幹部は18日、「我々の地区の運営状況は依然として複雑だ。一部の住民は帰還をあきらめず、そのため軍の活動が妨げられている」と述べ、もといた場所に戻ることは地元住民には不可能であり、恐ろしい悲劇を引き起こす可能性もあると警告した。同幹部は、当局も住民に対して安全な時期に帰還するよう指示していると言い添えた。