ロシア、数千の兵力を占領下のウクライナから移動か 越境攻撃への対抗措置と米当局者

AI要約

ロシア軍がウクライナ国内の占領地域から数千人規模の部隊を動かして奇襲に成功し、ウクライナ軍の越境攻撃に対抗していることが明らかになった。

米国などの当局者らはロシア軍の動きを注意深く監視しており、ロシアはウクライナ内のクルスク州に部隊を振り向けていると報じられている。

ウクライナ軍の越境攻撃は、ロシア側の戦略に影響を与えつつあるとされるが、ロシアは数十万規模の兵士を前線に確保しているため、数千人の移動が直接的な影響を持つ可能性は低いとの見方もある。

ロシア、数千の兵力を占領下のウクライナから移動か 越境攻撃への対抗措置と米当局者

(CNN) ロシア軍は数千人規模の部隊をウクライナ国内の占領地域から振り向け、奇襲として成功を収めたウクライナ軍による越境攻撃に対抗するとみられる。この動きにより、ロシアの戦争遂行努力は弱体化する可能性もあるという。米高官2人がCNNに明らかにした。

上記の展開は米国の注意を引いており、米当局者らは現在、ロシア軍が動かしている兵士の数を正確に見極めようとしている最中だ。ただ情報筋によると、少なくとも1000人で構成される旅団相当の部隊が複数、ロシア南西部のクルスク州に振り向けられたという。ウクライナ軍は先週、同州に越境攻撃を仕掛けた。

ロシア側に上記の動きがみられることは15日、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官がCNNに明らかにした。

カービー氏は、兵力の移動があってもロシアのプーチン大統領がウクライナ北東部での軍事作戦を諦めたわけではないと指摘。ウクライナ北東部や南部の前線では依然として戦闘が行われていると述べた。

それでもウクライナ軍の越境攻撃は、ロシア側の戦略に重大な影響を及ぼした可能性がある。

米高官と欧州の情報当局の高官はいずれも、ウクライナ軍の作戦の主要な目的がプーチン氏に「戦略的ジレンマ」を抱えさせることにあったようだと分析する。とりわけ、ロシア軍がどこに兵力を割り当てるのかといった問題で、そのようなジレンマが生じるという。

とはいえ、ロシアはウクライナの前線に数十万規模の兵士を確保しているとみられることから、数千人規模の移動は短期的には大きな影響をもたらさない可能性もあると当局者らはみている。

ロシアはまた、より大規模かつ練度の高い部隊については現在もウクライナからクルスク州へ振り向けてはいないようだ。西側の諜報(ちょうほう)に詳しい情報筋2人が明らかにした。

この情報筋の一人によれば、ロシアはクルスク州防衛に当たり、国内の他地域から動員した未熟な徴集兵を第一の戦力としているようだという。

ウクライナ国内からの兵力の移動に加え、ロシアはレニングラード軍管区やバルト海に面する飛び地カリーニングラード州からもクルスク州へ兵員を送り、同州の防衛を支援させている。米高官の一人が明らかにした。