ロシアとアメリカなど多数の受刑者を交換へ アメリカ人記者など

AI要約

ロシア政府とアメリカ政府が受刑者の交換に合意し、24人の受刑者が移送されることが発表された。

交換対象には、アメリカ人ジャーナリストや元米海兵隊員、ラジオ記者などが含まれており、複数の国が関与している。

この受刑者交換はロシアとアメリカのみならず、西側の他の国も関わっており、ロシア情報部員らも帰国する見通しとなっている。

ロシアとアメリカなど多数の受刑者を交換へ アメリカ人記者など

ロシア政府とアメリカ政府は1日、複数の受刑者の交換に合意し、手続きを開始した。ロシアでの収監から釈放された人の中には、アメリカ人ジャーナリストのエヴァン・ガーシュコヴィッチ氏や、元米海兵隊員ポール・ウィラン氏、ラジオ記者アルス・クルマシェワ記者が含まれるという。アメリカ政府高官が明らかにした。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースによると、24人の受刑者が交換の対象となり、ロシアとアメリカのほか、ドイツとほかに西側の3カ国がかかわる。

受刑者の交換はまだ実現していないが、1日中に行われるものとされている。

ロシアとアメリカだけでなく複数の国がかかわる大規模な受刑者交換の実現について、数日前から観測が飛び交っていた。ロシア国内で収監されていた複数の反体制派や記者が刑務所から移送され、移動先がわからなくなっていた。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのガーシュコヴィッチ記者は昨年3月、ロシア・エカテリンブルクで取材中、米中央情報局(CIA)のために情報を集めていた容疑で逮捕され、今年7月にスパイ罪で有罪となり、警備の厳しい刑務所での禁錮16年を言い渡されていた。アメリカ政府は、非公開で行われたこの裁判は「でたらめ」だと批判していた。

元米海兵隊員のウィラン氏は2018年12月に逮捕され、スパイ罪で拘束されていた。

クルマシェワ記者はアメリカとロシアの二重国籍で、昨年6月にロシア国内で、ロシア軍について虚偽情報を拡散した罪で逮捕された。

アメリカ政府が出資するラジオ自由ヨーロッパで働くクルマシェワ記者の同僚たちによると、記者は昨年10月、ロシア中部カザンで家族のもとを訪れていた際に、「外国の代理人」と登録しなかったことを理由に逮捕された。

昨年4月に収監された反体制派活動家ウラジーミル・カラ=ムルザ氏の行方もわからなくなっているため、今回の受刑者交換に含まれるのかが注目されている。

ロシアとイギリスの二重国籍を持つカラ=ムルザ氏は昨年4月、ウクライナでの戦争を批判したことに関連した罪で、禁錮25年の刑を受けた。その後、シベリアの刑務所に収監されていたものの、今年7月には刑務所の病院施設に移されたといわれ、その健康状態が懸念されていた。

ロシアから釈放される可能性のある人としてはほかに、反体制派政治家イリヤ・ヤシン氏や人権活動家オレグ・オルロフ氏の名前が挙がっている。

ロシアで受刑者がひそかに移送され行方が分からなくなるのは決して異例ではないが、複数の著名な受刑者が一斉に行方不明になるのは異例だった。

ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は7月30日、テロ罪などで死刑判決を受けていたドイツ国籍のリコ・クリーガー氏に恩赦を与えていた。

ドイツでは、ドイツ当局がロシア連邦保安庁(FSB)の将校と特定したヴァディム・クラシコフ受刑者が、ベルリンの公園でロシア反体制派を2019年に殺害した罪で終身刑を言い渡され服役していた。

BBCのサラ・レインズフォード東欧特派員は、アメリカなどで収監されている複数のロシア情報部員が、交換で釈放されロシアに帰国する見通しと話している。

BBCのフランク・ガードナー安全保障担当編集委員によると、今回の受刑者交換にはロシアとアメリカのほか、イギリス、ドイツ、ベラルーシ、スロヴェニアの6カ国がかかわっている。

スティーヴ・ローゼンバーグBBCロシア編集長は、受刑者交換の交渉は水面下で長いこと続いてきたと説明。西側とロシアの間のチャンネルがまだ生きていることが明らかになったことと、ウラジーミル・プーチン大統領は複数の西側ジャーナリストを拘束することで、引き換えに望むものを手に入れたと、編集長は話した。

(英語記事 Russia to free Gershkovich and Whelan in major prisoner swap)