福岡地裁 死刑囚の訴えを一部認める判決「養子縁組した3人は親族 手紙のやりとり不許可とされない」国への損害賠償請は棄却

AI要約

福岡拘置所に収監中の死刑囚が手紙のやりとりを制限された問題で、福岡地裁は一部の訴えを認める判決を言い渡した。

死刑囚と養子縁組をした男性3人の関係が「親族」であり、手紙のやりとりが不許可とされるべきでないと判断された。

しかし、損害賠償請求については過失がないとして退けられた。福岡拘置所は判決内容を検討し、適切に対応するとコメントしている。

福岡地裁 死刑囚の訴えを一部認める判決「養子縁組した3人は親族 手紙のやりとり不許可とされない」国への損害賠償請は棄却

福岡拘置所に収監中の死刑囚が、養子縁組を結んだ男性3人との手紙のやりとりを制限されたのは違法だとして、国に損害賠償を求めていた裁判で、福岡地裁は、死刑囚の訴えを一部認める判決を言い渡しました。

男性3人と死刑囚は「信書のやりとりが不許可とされない関係である」と認めた上で、損害賠償については、「拘置所の判断に過失があったとは言いがたい」などとして請求を退けました。

◆大牟田4人殺害事件の死刑囚が訴え

訴えを起こしているのは、20年前の2004年、福岡県大牟田市で4人を殺害した一家の次男で、2011年に死刑が確定した井上(旧姓:北村)孝紘死刑囚(40)です。

井上死刑囚は2018年、養子縁組をした男性3人に、手紙を送ろうとしたところ、福岡拘置所が、養子縁組が「外部交通を得る目的などのためになされたもの」として親族と認めず、手紙の送付を不許可としました。

この不許可処分について、井上死刑囚は2020年、男性3人との関係を「親族」と認めるよう求めたほか、「外部交通権という重要な権利を侵害され、著しい精神的苦痛を被った」として、国に約150万円の損害賠償を請求しました。

31日の判決で、福岡地裁の林史高裁判長は、刺青の下絵を描くことが人格的生存に関わる重要な事項であった原告にとって、刺青の下絵の指導などを通じて深めた3人との交流が、「真摯なものでなかったとはいえない」と指摘。

そのうえで死刑囚と男性3人の関係を「親族にあたると言わざるを得ない」などとして「手紙のやりとりを不許可とされない地位にある」と認めました。

一方、福岡拘置所が不許可処分を出したことについては、「交流の実情を正確に把握することは容易ではなかった」などと指摘。違法性はないとして、国への損害賠償請求を退けました。

福岡拘置所は「判決内容を精査し、関係機関と協議した上で、適切に対応してまいりたいと考えています」とコメントしています。