【ドイツ】独企業のAI利用が拡大 広告・市場調査では7割が導入

AI要約

Ifo経済研究所が発表した報告によると、ドイツ企業の27%が人工知能(AI)を活用しており、その割合は前年の倍増になった。産業別には広告・市場調査が最もAIを導入しており、自動車や医薬品などの産業も利用率が高い。一方で建設などではAIの利用がまだ低い状況が報告されている。

ドイツではAIの研究開発は進んでいるものの、実務への応用は遅れているとされている。また、AI技術関連の特許において中国や米国に比べてドイツの割合が低いことが指摘されている。

AIの技術革新と悪用についてのリスクが指摘される中、欧州連合(EU)では包括的なAI規制法が成立し、安全性や倫理面を考慮した施策が取られることが決定されている。

 Ifo経済研究所は18日、事業に人工知能(AI)を利用するドイツ企業の割合は27%となり、前年の13.3%から倍増したと発表した。向こう数カ月以内に導入を計画する企業は17.5%に上った一方、AIの利用を考えていない企業は21.2%を占めた。

 産業別に見ると、AIの導入が最も進んでいるのは広告・市場調査で72%がAIを利用。情報技術(IT)サービスが60%前後でこれに続く。自動車、電子機器、医薬品、繊維・衣類の各産業では利用率はいずれも33%超で、小売り・卸売りでは約22%だった。建設では11.6%にとどまる。建設やホスピタリティー産業では、現時点ではAIを利用できる業務が少ないことが背景にあるとみられる。

 ドイツ復興金融公庫(KfW)によると、ドイツではAIの研究開発は盛んな一方で、実務への応用では遅れが目立つ。AI技術関連の特許にドイツが占める割合は6%と、中国(29%)や米国(26%)に大きく差をつけられている。

 AIでは技術革新に注目が集まる一方で、AIを悪用した犯罪なども増えており、安全性や倫理面でのリスクが指摘されている。こうした中、欧州連合(EU)では6月、世界初の包括的なAI規制法が成立し、2026年からの全面適用が予定されている。