OpenAIが「Strawberry」の開発を加速…次世代AIの「創造的な二面性」に人間はどう向き合っていくのか

AI要約

OpenAIが次世代AI「Strawberry」の開発を加速させる中、AGI(汎用人工知能)に向けた段階的な計画が進行中。

Strawberryは従来の生成AIよりも推論能力が高く、数学や自然科学の高度な問題も解くことが可能。

OpenAIとDeepMindはそれぞれ独自の段階的AGI開発計画を進めており、人工知能の進化に向けた実用的なアプローチを取っている。

OpenAIが「Strawberry」の開発を加速…次世代AIの「創造的な二面性」に人間はどう向き合っていくのか

ChatGPTで生成AIブームの火付け役となったOpenAIが、次世代モデルの開発を加速させている。ロイター通信によれば、同社は今「Strawberry」と呼ばれる新型の人工知能を開発中だが、これはChatGPTなど従来の生成AI(大規模言語モデル)に欠けていた推論能力(論理的な思考力)を備えているという。

Strawberryは昨年11月、OpenAIのサム・アルトマンCEOが突如解任された社内クーデターの背景にあると噂された「Q*」と実質的に同じAIであるという。当時、このAIの安全性を巡る社内の不和が解任劇の一因とも見られたが、結局その真偽は不明のままアルトマンCEOの復職という形で同クーデターは幕を閉じた。

それから半年以上が経過した今、Strawberryの開発は既にOpenAI社内で実際にデモできる段階にまで進んでいるが、たとえば数学や自然科学の分野における高度な推論などデモを間近に見た関係者が驚くほどのレベルに達しているという。

こうした前衛的なデモと並行する形で、OpenAIは同社の最終目標とする「AGI(人間と同等かそれ以上の汎用人工知能)」に向けた開発計画も明らかにしている。それは全部で5段階に分かれるが、最初の段階「Level 1」は「人間と自由に会話できるAI」に該当し、これは既にChatGPTやそのベースにある大規模言語モデルGPT-4などによって実現されている。

この後に来る「Level 2」のAIでは、(数学や自然科学などの)博士課程と同水準の問題を解くことを目指すという。この段階で恐らく(前述の)Strawberryに育まれた推論能力等が活かされることになるのだろう。

その先にある「Level 3」では、単に人と会話したりハイレベルの問題を解いたりするといった試行段階を脱して、実務的な行動を伴う「作業」や「仕事」をAIに任せられるようにする。いわゆる「Agent(代理作業者)」と呼ばれる生成AIの開発がその段階に該当する。

さらに、その先の「Level 4」では「新たな技術の発明やイノベーション」ができる生成AIを目指す。

そして最終段階の「Level 5(AGI)」では、それら個々の英知を有機的に結合した「組織的な高度作業」を担うことのできる生成AIの実現を目指すという。つまりチームワークをできるかどうかがAGIへの最終ハードルということになるが、ここにOpenAIが敢えて重きを置いていることは、いわゆる「知能」の正体や実態を考える上で興味深いところでもある。

このOpenAIと同様、全部で5段階に別れたAGIの開発計画はグーグルのAI研究部門「DeepMind」も2023年11月に発表している。OpenAIとグーグルの間で具体的なアプローチは異なるが、段階的つまり徐々にAGIを実現していこうという姿勢は両社に共通している。

参照)Levels of AGI for Operationalizing Progress on the Path to AGI(Submitted on 4 Nov 2023)

最近のAIブームの中でAGIはともすればSF的な色合いが強くなってしまうが、これらOpenAIやグーグルによる段階的な開発方針は、そこに現実性を持たせるうえで何らかの意味を持っていると言えるだろう。