「買ったマンションは完成するのか‥」 問題物件の「ババ抜き」状態に陥る中国不動産不況

AI要約

中国国家統計局が15日発表した2024年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比4・7%増で、市場予測や中国政府の通年目標「5%前後」を下回った。景気を牽引する工業生産や輸出も欧米との貿易摩擦が先行きに影を落としている。

「未完成物件は買うべきでない」という声が広まり、不動産不況が続く中国では、購入者が完成を心配する事例が増加している。不動産市場の悪化が経済に影響を及ぼしている。

問題物件が引き取られない状況が続き、「誰が問題物件を引くかという〝ババ抜き〟のような状態になっていて、購入意欲を冷え込ませている」という声が聞かれる。

「買ったマンションは完成するのか‥」 問題物件の「ババ抜き」状態に陥る中国不動産不況

中国国家統計局が15日発表した2024年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比4・7%増で、市場予測や中国政府の通年目標「5%前後」を下回った。長期化している不動産市場の悪化が足を引っ張っており、中国当局が対策を進めても本格的な反転上昇の兆しが見えない。景気を牽引する工業生産や輸出も欧米との貿易摩擦が先行きに影を落としている。

■「未完成物件は買うべきでない」

「自分が購入した物件が本当に完成するか、爛尾楼(ランウェイロウ)になるかずっと心配だった」

中国東北部、遼寧省の省都・瀋陽市の郊外で娘連れの40代女性が話した。女性は2年前にマンションを購入したが、最近ようやく完成して入居できたという。

女性が心配していた「爛尾楼」とは、開発業者が資金繰り難に直面して建設工事が中断したマンションを示す。不動産不況が長期化している中国でここ数年問題となっている。

中国の不動産物件は、竣工(しゅんこう)前に手付金を支払い、住宅ローンの返済が始まることが多い。これにより開発業者は投資資金を確保し、購入者は住宅価格が上がる前に契約を結べるというメリットがあった。

しかし、不動産不況が状況を一変させた。開発業者が資金繰りに行き詰まって建設が中断し、既にローンを支払っているのに住むところがないという人が増えた。瀋陽の女性は「今は未完成の物件は買うべきでない」と指摘する。女性が住むマンションの敷地内にも爛尾楼となっている棟がある。瀋陽市内には販売を始めてから約10年になる今も完成していないというマンションもあった。工事が進んでいない現場で暇そうにしていた警備員の男性は「若者だったら完成して住める可能性があるかもしれないが老人はあきらめるしかない」と苦笑した。

北京の外資企業幹部は「誰が問題物件を引くかという〝ババ抜き〟のような状態になっていて、購入意欲を冷え込ませている」と分析する。

■「成約量も成約価格も低い」