胎児殺人? でっち上げ?…韓国政府「36週妊娠中絶映像」に殺人罪捜査依頼

AI要約

韓国政府が、ソーシャルメディアに投稿された「36週胎児堕胎」映像をめぐり炎上し、警察捜査依頼を出す。関連立法の遅延が混乱を招いている。

ユーチューブで妊娠36週目に中絶手術を公開した女性に対し、殺人疑惑で捜査依頼。現行法では堕胎罪がない事態を踏まえて殺人罪で対処する方針。

政府は堕胎関連法の不備を受けて様々な立法案を提案しているが、議論が進まず混乱が続いている。

胎児殺人? でっち上げ?…韓国政府「36週妊娠中絶映像」に殺人罪捜査依頼

最近、ソーシャルメディアに投稿された「36週胎児堕胎」映像をめぐり炎上すると、韓国政府が殺人などの疑惑で警察捜査依頼に出た。2019年刑法上、堕胎罪の憲法不合致決定以降、関連立法が5年間遅延されて混乱が大きくなっている。

自分を20代だと紹介した女性A氏は先月末、ユーチューブチャンネルに妊娠36週目に人工妊娠中絶手術を受けたと主張する映像を公開した。その後、関連内容がオンラインコミュニティなどに「36週間堕胎Vlog」のようなタイトルで急速に広がった。A氏は手術後の近況などと見られる追加映像も投稿した。ネットユーザーの間では臨月妊婦の堕胎が「胎児殺人」という指摘が出ている一方、A氏の堕胎事実自体がねつ造された可能性があるという疑いも提起された。

このような堕胎をめぐる論争が拡大し、政府も動いた。保健福祉部は法律諮問などを経て12日、警察にA氏とA氏の堕胎手術を行った医師に対する捜査依頼の陳情書を提出した。妊娠24週を超える堕胎は母子保健法上違法だが、刑法上堕胎罪がなくなり事実上処罰効力がない状況だ。これを考慮して母子保健法違反の代わりに殺人罪で捜査を依頼した。3~4週胎児を中絶した医師に殺人罪を適用した裁判所の判例を参照したという。

福祉部が出産が迫っている臨月中絶の事例について、直接捜査依頼の手続きを踏んだのは今回が初めてだという。福祉部の関係者は「中絶が実際に行われたかなど事実関係を確認した後、法的判断を受けるためにソウル警察庁に陳情を受け付けた」と話した。

ただ、今後もいつでも似たような問題が繰り返される可能性がある。憲法裁判所が2019年、すべての堕胎を処罰する刑法条項に憲法不合致決定を下し、2020年末までに法を改正せよと言ったが、今まで全く進んでいないためだ。第21代国会で「妊娠14週まで全面許容、24週まで部分許容」などを盛り込んだ政府案が打ち出され、与野党立法案も多数発議されている。しかし、議論にこれといった進展もなく、常任委を通過することができず自動的に廃棄された。

このように堕胎の基準などが明確でない「無法」状態で妊婦の健康権と胎児の生命権などは保障されることが難しくなった。一部の産婦人科などでは、妊娠30週を超える胎児の中絶手術などが暗々裏に行われているという。国会が手をこまねいている間に堕胎許容週数・理由などをめぐる社会的賛否だけを分かれている。

京畿(キョンギ)大学犯罪心理学科のイ・スジョン教授は12日、ソーシャルメディアに「司法部・立法部ともに職務怠慢が問題」と指摘した。20余りの市民団体などが所属している「皆の安全な妊娠中止のための権利保障ネットワーク」は、今年に入って発表した報告書で「妊娠中止に関する包括的な情報と安全な医療機関の情報提供などが必要だ」と要求した。

法務部など政府部署では、第22代国会に提出する立法案をめぐり再び議論に入った。匿名を求めた医療界の関係者は「すでに遅れているが、国会が立法手続きに速度を上げて被害を受ける妊婦と医療関係者の混乱を減らす必要がある。政府内のカギを握る法務部も刑法改正などにより積極的に乗り出してほしい」と述べた。