ウクライナ戦争が「バイデンの代理戦争」と言える4つのワケ

AI要約

ウクライナ戦争がアメリカの「代理戦争」であるという視角から、ウクライナ戦争について述べるシンポジウムが開催される。

バイデン政権は2022年後半から、プーチン政権の弱体化と軍事的破壊を目指してウクライナ戦争を継続させた。和平よりも戦争継続を促した結果、国内領土の損失と死傷者が増加した。

和平交渉の詳細については、別の記事や論文で詳しく解説されている。

ウクライナ戦争が「バイデンの代理戦争」と言える4つのワケ

7月19~20日、明治大学で開催されるシンポジウム「ユーラシア協調安全保障体制をどう構築するか」(下の写真を参照)において、「帝国主義アメリカの外交とウクライナ」について話をする。今回は、ここでの議論に絡めて、ウクライナ戦争がアメリカの「代理戦争」であるという視角から、ウクライナ戦争について述べてみたい。

2022年に刊行した拙著『ウクライナ3.0』(社会評論社)は「米国・NATOの代理戦争の裏側」という副題をもつ。だがウクライナ戦争を米国の代理戦争とみる見方は、私の専売特許ではない。

最近では、ドナルド・トランプの知恵袋とされている、2017年から2021年のトランプ大統領在任中、マイク・ペンス副大統領の国家安全保障顧問やアメリカ合衆国国家安全保障会議の事務局長兼首席補佐官を務めたキース・ケロッグ退役陸軍中将と、トランプ大統領副補佐官兼同会議首席補佐官を務めたフレッド・フライツの共著論文において、つぎのように記述されている。

「要するに、バイデン政権は2022年後半から、(ロシア)国内でのプーチン政権の弱体化と軍事的破壊という米国の政策目標を推進するために、ウクライナ軍を代理戦争に利用し始めたのだ。それは戦略ではなく、感情に基づいた希望だった。成功のための計画ではなかった」

この主張は正しい。たしかに、バイデン政権は2022年後半から、ウクライナ戦争を継続させることで、プーチン政権の弱体化と軍事的破壊に舵を切ったといえる。

というのは、ウクライナとロシアとの間で進展しつつあった和平交渉において、和平よりも戦争継続を促したのがバイデン大統領と、ジョンソン英首相(当時)だったからである。

逆にいうと、米英の進言に従ってウクライナが2022年4月から5月にかけて進んだ和平交渉を決裂させた結果、ウクライナはさらに国内領土をロシアに奪われ、何万人もの死傷者を増やす結果につながったということになる(この「代理戦争化」の責任はバイデンとゼレンスキーにあるといえるだろう)。

(和平交渉の詳細については、拙稿「2022年2~5月のウクライナ戦争を終わらせることができた会談」や拙著『帝国主義アメリカの野望』で詳しく解説したので、そちらを参照してほしい)