米民主、大統領選巡り進む分裂 バイデン氏の演説会場「やめないで」コールも広がる撤退論

AI要約

民主党のバイデン大統領が再選を目指し、党内の撤退圧力に立ち向かっている様子が報じられている。

党内でバイデン氏に対する懸念が広がり、一部の議員が撤退を求める動きがある一方で、バイデン氏は再選への意欲を示している。

バイデン氏の後任候補についても議論が広がっており、民主党内の対立が収まるかは不透明な状況である。

【ワシントン=坂本一之】11月の米大統領選で再選を目指す民主党のバイデン大統領(81)は12日、中西部ミシガン州で演説し、支持者の「やめないで」コールにガッツポーズで応じ党内の撤退圧力に屈しない姿勢を誇示した。ただ議員の間では共和党のトランプ前大統領(78)にバイデン氏が敗れることを懸念し出馬辞退を求める声がじわじわと広がり、民主党は分裂状態に陥っている。

バイデン氏はミシガン訪問に先立つ11日夜、民主党下院トップのジェフリーズ院内総務と会談。ジェフリーズ氏は、党下院議員の中でバイデン氏出馬への懸念が広がっていることを伝えた。

バイデン氏は、トランプ氏と臨んだ6月の討論会で精彩を欠いたことで高齢不安が再燃し、党内で撤退論が噴出した。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、民主党の大口献金者がバイデン氏を支える特別政治活動委員会(スーパーPAC)への寄付約9000万ドル(約142億円)を凍結する動きも出ている。

撤退を求める民主党内の勢力(12日時点)は下院議員213人のうち19人。上院議員は47人のうち1人で、23人いる知事はゼロとなっている。撤退論はまだ一部だが、バイデン氏への懸念を公にしていない議員もいる。声をあげる議員が増えれば、急速に撤退圧力が強まる可能性もある。

バイデン氏は12日、こうした動きに対抗するため大統領選の勝敗を左右する接戦州のミシガンに乗り込んで演説。選挙継続を求める支持者に対し「私はどこにも行かない」と語気を強め、再選への意欲を強調した。

党重鎮のクライバーン下院議員は、NBCテレビでバイデン氏支持を改めて表明し撤退論を牽制(けんせい)するなど、バイデン氏の進退を巡る党内対立が収まる気配はない。こうした状況はメディアで盛り上がるバイデン氏の後任議論にも影を落とす。

米紙ワシントン・ポストの世論調査で「バイデン氏が退いた場合の民主党候補」を同党支持層に聞いたところ、首位は29%のハリス副大統領(59)。2位は7%で西部カリフォルニア州のニューサム知事(56)、3位は4%で政治家ではないオバマ元大統領のミシェル夫人(60)となった。

一方で「分からない」が15%、回答を避けた人が31%にも達する。バイデン氏が撤退した場合に選挙戦で民主党がより結束できるかは不透明だ。