トランプ氏が痛烈批判 バイデン氏の「弱腰」外交に根強い懸念 中朝露などの増長招いた

AI要約

トランプ前大統領が外交・安全保障政策を巡り、バイデン大統領を批判。バイデン政権の脆弱さが敵対勢力の脅威を増長させている可能性が指摘されている。

トランプ氏の予測不可能性が抑止力とされ、過去の行動が米国の敵対国の行動を制約した例も挙げられている。

一方、バイデン政権の安保政策やアフガニスタン撤退に対する批判も根強く、バイデン氏の指導力に疑義が呈されている。

11月の米大統領選に向けた6月27日の候補者討論会で、外交・安全保障政策の議論が占めた比率は大きくなかった。その中で耳目を集めたのは、共和党のトランプ前大統領が中朝露の3首脳を名指しし、「彼らはバイデン氏を尊敬も恐れもしていない」とバイデン大統領(民主党)を糾弾したことだ。バイデン氏の弱腰が米国の敵対勢力を増長させているとの趣旨である。この見方は党派を問わず外交・安保専門家の間で根強く、今後の選挙戦に与える影響が注視される。

「バイデン氏の軍事政策は狂っている。彼のもとで戦争は終わらず、彼はわれわれを第三次世界大戦に追い込むだろう」

トランプ氏は討論会でこう述べた後に続けた。「中国の習(近平)国家主席、金正恩(朝鮮労働党総書記)、プーチン(露大統領)、彼らはバイデン氏を尊敬も恐れもしていない」

プーチン氏については、「もし本物の大統領、プーチンに尊敬される(米)大統領がいたなら、プーチンは決してウクライナに侵攻しなかっただろう」ともトランプ氏は述べた。

つまり、バイデン政権は侮られており、米国の抑止力低下が敵対勢力の軍事行動や挑発行動を誘発しているという主張だ。

■トランプ氏の「予測不可能性」は抑止力

この点で、トランプ氏の「強み」としてしばしば指摘されるのが彼の「予測不可能性」だ。

トランプ氏陣営のシンクタンク「米国第一政策研究所(AFPI)」は5月に出版した安保政策の提言書で、トランプ氏の予測不可能性が「米国の敵対国による行動を妨げる重要な役割を果たした」と述べている。

ここで予測不可能性の代表例とされているのは、化学兵器を使用したとみられるシリアへの空爆(17年4月)や、アフガニスタンでイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が使用していたとみられるトンネル施設への攻撃(同)だ。

提言書によると、これらを受けてプーチン氏は、仮にロシアが好戦的な行動をとった場合にトランプ氏がどう反応するか「確信が持てなかった」。トランプ氏は米国の権益を守るためならあらゆる手段を使う「強力で断固とした大統領だ」と思わせ、プーチン氏が周辺国に侵攻するのを思いとどまらせたと説明した。

提言書は他方、バイデン政権の21年8月に行われた米軍のアフガニスタン撤収について、「米国の信用と世界の安全保障に甚大な損害を与えた外交政策の大失敗」と酷評する。バイデン政権の安保政策やバイデン氏の米軍最高司令官としての指導力が「脆弱」だったため、プーチン氏にウクライナ侵略を許すことになったとしている。