クロスボウで妻子3人を殺害される、BBC競馬コメンテーターに追悼の声 英

AI要約

英国で競馬コメンテーターの妻と娘2人がクロスボウによる攻撃で殺害された事件が発生し、女性に対する暴力に注目が集まっている。

容疑者は逮捕されたが重体であり、事件は狙いを定めたものと見られている。

事件を受けて女性に対する暴力問題が再び話題になり、慈善団体や人権団体がフェミサイド対策を要請している。

クロスボウで妻子3人を殺害される、BBC競馬コメンテーターに追悼の声 英

ロンドン(CNN) 英BBCの競馬コメンテーター、ジョン・ハントさんの妻と娘2人がクロスボウ(洋弓銃)によるとみられる攻撃で殺害された事件を受け、英国各地からハントさんに追悼の言葉が寄せられている。3人の死をきっかけに、女性に対する暴力のまん延に改めて注目が集まっている。

警察や英公共放送によると、BBC競馬コメンテーターの妻、キャロル・ハントさん(61)とその娘ハンナ・ハントさん(28)、ルイーズ・ハントさん(25)は9日、ロンドン北西郊ブッシーでの攻撃で負ったけがが原因で死亡した。

指名手配されていたカイル・クリフォード容疑者(26)は10日、大規模捜索の後、ロンドン北郊エンフィールドで警察によって発見された。クリフォード容疑者に関して以前に警察への通報はなかったという。地元警察は声明で、容疑者は病院で重体となっており、まだ警察と話をしていないと明らかにした。

捜査の過程でクロスボウが回収された。警察は「狙いを定めた事件」との見方を示している。

女性3人の殺害は英国を揺るがしている。英国で大量殺人事件は多くないが、女性や少女に対する暴力は国家の脅威に認定されている。

女性と少女に対する暴力に関する国連特別報告者、リーム・アルサレム氏の今年の発言によると、英国では3日に1人のペースで女性が男性に殺害されており、女性の4人に1人は生涯のうちに家庭内暴力(DV)を経験するという。

慈善団体や人権団体は事件後、国内のフェミサイド(女性であることを理由にした殺人)対策を改めて緊急要請した。

DV根絶に取り組む英慈善団体、セーフライブスは「女性や少女に対する男性の暴力は疫病のレベルに達している」と指摘。「DVは公衆衛生上の大きな危機。テロと同等の優先順位を付与すべきだと」と訴えた。

英国のクーパー内相は今回の襲撃を「本当に衝撃的」と形容し、当局から「万全の情報提供を受けている」ことを明らかにした。

事件を受けてBBCやスポーツ業界からは追悼の言葉が相次ぎ、BBCの記者からも同僚を称賛する声が寄せられた。

BBCスポーツのプレゼンター、マーク・チャップマン氏は「ジョン・ハント氏は私たちの同僚で友人。現在の5ライブスポーツのチームだけでなく、過去20年間彼と一緒に働いてきた全ての人にとってだ」

BBCのサッカー番組の司会を以前務めていたダン・ウォーカー氏はX(旧ツイッター)への投稿で「ジョン・ハント氏は素晴らしい人。彼の人生はきのう引き裂かれた」との言葉を寄せた。

英国では2021年、当時のエリザベス女王をクロスボウで暗殺する目的でウィンザー城に押し入った男が拘束され、昨年にはクロスボウに関する国内法の強力さを疑問視する声が出た。

当時、保守党政権は8週間をかけて関連規則や免許制導入の可能性について検討したものの、法改定は行っていなかった。

英国では18歳以上がクロスボウを購入、所有することは合法。ただ、合理的な理由なしに公共の場でクロスボウを携行すれば禁錮刑を受ける可能性がある。

英国でクロスボウを使った襲撃はまれで、政府によると、11~21年に発生したクロスボウによる殺人は10件未満だった。