アジア競馬会議が札幌で開幕!ブレスゲス氏の開会あいさつ全文「この美しい国に温かく…」

AI要約

第40回アジア競馬会議(ARC)札幌大会のオープニングセレモニーが27日、札幌市内のホテルで行われた。

28日から3日間行われるビジネスセッションでは40の国と地域、団体から約800人の競馬関係者が参加を予定しており、競馬の現状、賭事の未来、馬の福祉と産業の持続可能性など、9つのテーマが論じられる。

開会のあいさつはアジア競馬連盟(ARF)会長のウインフリート・エンゲルブレヒト=ブレスゲス氏が登壇した。ブレスゲス氏のあいさつは、ARCについての歴史や日本の競馬産業の現状、課題、そして展望について述べられた。

ウインフリート・エンゲルブレヒト=ブレスゲス氏のあいさつから、ARCの重要性や競馬産業の今後の方向性、そして日本の競馬の地位に対する期待が示された。

 第40回アジア競馬会議(ARC)札幌大会のオープニングセレモニーが27日、札幌市内のホテルで行われた。

 28日から3日間行われるビジネスセッションでは40の国と地域、団体から約800人の競馬関係者が参加を予定しており、競馬の現状、賭事の未来、馬の福祉と産業の持続可能性など、9つのテーマが論じられる。

 1960年に東京で第1回が開催され、日本がホスト国となるのは08年以来、16年ぶり。札幌での開催は初めてとなる。

 開会のあいさつはアジア競馬連盟(ARF)会長のウインフリート・エンゲルブレヒト=ブレスゲス氏が登壇した。ブレスゲス氏のあいさつは以下の通り。

    ◇   ◇   ◇

 今回の会議はJRA70周年という記念すべき年に開催されることとなり、その歴史的意義が強調されていると感じています。

 前回メルボルン大会開催から約1年半が経過し、新型コロナウイルスの影響を受けた競馬産業界が直面する多くの課題が徐々に浮き彫りになってきています。物価や金利上昇、違法賭事市場の拡大に伴う競争の激化や消費者行動の変化などが業界全体に影響を及ぼしており、競馬事業の収入減少や一部地域においては、競馬事業の休止という事象も起こり始めています。

 中東諸国における競馬の活性化は見られますが、これらの課題に対処するためには、競馬産業界全体が変革を受け入れ、新たな協力方法を模索し、さまざまな技術革新を取り入れていく必要があります。また、アジア競馬連盟としての使命は、善意と相互理解の醸成、競馬事業とサラブレッド生産の促進、スポーツとしての公正性の向上、相互利益をもたらす目標と戦略立案の奨励、アイデアや情報の交換、国際競走の促進とサポート、そして現在および未来の顧客に焦点を当てることにあると考えています。

 今後3日間にわたる本会議では、競馬産業界が直面する最も重要ないくつかの問題について議論が行われます。これには、若年層や多様な顧客層への競馬の訴求、違法賭事市場への対応、科学技術を活用した馬の福祉と安全性の向上、持続可能性への取り組みなどが含まれます。

 競馬産業界は大きな変革を遂げてきていますが、特に過去15年から20年の間、技術の進歩、違法賭事の脅威の拡大、環境の持続可能性、気候変動による影響など、さまざまな面において、急速な変化が進んでいます。このような状況において、ARCは国際的な競馬産業界の中心であり続け、この業界の発展に寄与し続ける重要な存在であることを改めて強調させていただきます。

 今回のARC札幌大会は、世界各国から約800名の関係者を集め、競馬産業界におけるARCの国際的な影響力を示すものとして開催されることになります。また日本では16年ぶり5回目で、初めて札幌で開催されます。北海道は日本を代表する競走馬生産の中心地でありますが、1960年にARCが創設されて以降、日本は競走および生産の主要国として、世界競馬のエコシステムにおける主要プレイヤーの位置を確立してきました。それは、23年度ロンジンワールドベストレースホースにイクイノックスが選ばれたほか、日本調教馬がワールドランキングのトップ25に6頭も名を連ねたことに加え、昨年のジャパンCがロンジンワールドベストレースに選出されたことが証明しています。

 日本馬は1958年に初めて海外遠征を行い、ヨーロッパのG1勝利に40年もの歳月を要しました。その後、1981年にジャパンCが創設され、海外の一流競走馬を目のあたりにし、強い競走馬作りのための設備投資や人材育成に取り組みました。また、サンデーサイレンスやディープインパクトといった希代の名種牡馬も、日本競馬産業界に多大な影響を与えてきました。

 しかし、これらの成功は、お客さまサービスに関する長期的戦略や世界との連携、そして日本の競馬に対する深い愛情が生み出したたまものであると私は感じています。日本の競馬産業界は、競馬というスポーツの公正性を確保し、競馬の魅力を育むことに注力するだけでなく、競走馬のアフターケアにも重点的に取り組んでいます。そして、それらの取り組みも、競馬事業とサラブレッド生産の確かな繁栄に繋がっていると考えています。

 今回、日本の皆さまが、我々全参加者をこの美しい国に温かく迎えてくれたことに感謝いたします。そして会議の合間には、是非さまざまな札幌の魅力を体験し、発見してみてください。札幌の魅力は決して皆さまご存じのみそラーメンやウイスキーだけではないでしょう。

 最後になりますが、第40回ARCの開会にあたり、我々全員が協力し、競馬産業の健全な発展と成長を確保していくために、一致団結して取り組んでいきましょう。またこの会議が、産業全体を連携させ、未来に向けてさらなる成長を実現していくための、また共に歩んでいくための素晴らしい機会となることを心より願っています。