大の里 大関昇進へ“マジック1” 1年半前まで大学生!大銀杏結えないまま所要9場所なら史上最速昇進

AI要約

関脇・大の里が11連勝を達成し、大関昇進目安の33勝に王手をかけた。他の力士は2差を追う展開。

大の里が際どい勝負で琴勝峰を下し、大関昇進に向けて着実に勝ち星を重ねている。優勝争いもリード中。

大の里は集中力を高め、大関の風格を漂わせながらも、まだ大関への道のりを謙虚に、着実に歩んでいる。

大の里 大関昇進へ“マジック1” 1年半前まで大学生!大銀杏結えないまま所要9場所なら史上最速昇進

 ◇大相撲秋場所11日目(2024年9月18日 両国国技館)

 全勝で2差単独首位の関脇・大の里が、物言いのつく際どい勝負で平幕・琴勝峰を下して初日から11連勝と星を伸ばした。直近3場所合計の勝ち星が「32」となり、大関昇進目安の33勝に王手。優勝争いでも後続に2差のトップを守った。2敗の平幕対決は錦木が若隆景を破り、関脇・霧島、平幕・高安と3人で追う展開に。大関・琴桜は4敗目を喫した。

 一瞬ヒヤリとした場面に、館内はどよめいた。大の里が右を差して一気に前に出ていくと琴勝峰に右へ回り込まれ、両足が宙に浮いて土俵にダイブ。十両だった昨年九州場所で本割、決定戦と2度敗れている“難敵”にまたも苦杯をなめたかと思われた。しかし相手の右足が一瞬早く土俵を割っており、物言いがつくも軍配通り。今場所2度目の際どい勝負を拾った。

 これで11連勝。直近3場所合計32勝となり、大関昇進目安の「33勝」へ“マジック1”に迫った。その数字については「気にしていない」と即答。「一日一日に集中していきたい」と雑念を封じ込めた。場所前、大関獲りについては「まだ(入門してから)2年目なので自分的にはじっくり」と謙虚に話していたことも。羽黒山、豊山、雅山の12場所を大きく更新する初土俵から所要9場所での史上最速昇進は、1年半前まで大学生だった若武者には想像もつかない記録のようだ。

 優勝争いでも後続に2差つけて首位を独走。早ければ13日目にも決まりそうだ。関脇以下の力士が1年以内に2度優勝すれば、1992年の初場所と秋場所で優勝した貴花田(のちの横綱・貴乃花)以来史上2人目の快挙となる。

 この日も取組後の支度部屋では、目を閉じて「一日一番集中して頑張ります」と繰り返した。集中力を高めて落ち着き払う態度には早くも大関のような風格が漂っているが、結い直しているちょんまげは他の関取と比べて明らかに短い。大銀杏(おおいちょう)が結えないまま、大関も通過点にしそうな勢いだ。 (前川 晋作)