【記者の目】甲子園決勝にタイブレークはそぐわない 決着急ぐ必要なし ラストマッチは特別な舞台 思う存分の競い合いを

AI要約

第106回全国高校野球選手権大会第14日の決勝は、京都国際が延長10回のタイブレークで関東第一を2―1で破り優勝した。

現行のタイブレーク方式に疑問を呈し、決勝で延長15回まで試合を行い、翌日以降に再試合を行う方式に戻す提案がされた。

決勝戦は特別な舞台であり、選手が思う存分競い合える環境を提供するべきであるという意見もある。

【記者の目】甲子園決勝にタイブレークはそぐわない 決着急ぐ必要なし ラストマッチは特別な舞台 思う存分の競い合いを

◆第106回全国高校野球選手権大会第14日 ▽決勝 京都国際2―1関東第一=延長10回タイブレーク=(23日・甲子園)

 【記者の目】優勝した京都国際に敬意を表した上で、問題提起したい。夏の甲子園決勝にタイブレークはそぐわない。延長15回で打ち切り、翌日以降に再試合を行う方式に戻せないだろうか。

 高校野球でのタイブレークは18年春から導入され、21年春から決勝でも適用。当初は延長13回からで、23年春から現行の方式になった。選手の健康管理や円滑な大会運営に効果的なことは理解できる。しかし甲子園の決勝は特別な舞台。当日は1試合のみで時間的な制約もなく、人為的に走者を置き、決着を急ぐ必要はない。

 データで見てもこの日の決勝の延長は06年の早実・駒大苫小牧戦以来18年ぶり13度目と少ない。さらに0―0での延長突入は、史上4度目だ。この日、テレビのキャスターとして精力的に取材を行う斎藤佑樹さんの姿があった。もしも06年にタイブレークが導入されていたら、今の斎藤さんはいないはず。甲子園の主役は選手だ。せめて決勝ぐらいは思う存分、日本一を競い合ってほしいと願う。(編集委員・加藤 弘士)