「頑固さ」と「柔軟さ」 ソフトバンク小久保監督の際立つベンチワーク 先発陣も強みで10ゲーム差の首位ターン【評論家の視点】

AI要約

小久保監督率いるソフトバンクは前半戦を首位で終え、投手陣の安定とベンチワークの成功が成績につながった。

後半戦の重要ポイントは得点力の向上であり、打線の調子が鍵を握ると指摘されている。

特に、4番山川や1番周東、6番正木などの選手の活躍がチームの勝利に大きく影響すると期待されている。

「頑固さ」と「柔軟さ」 ソフトバンク小久保監督の際立つベンチワーク 先発陣も強みで10ゲーム差の首位ターン【評論家の視点】

 プロ野球は21日に前半戦の戦いを終えた。小久保監督1年目のソフトバンクは2位ロッテに10ゲーム差をつけての首位ターンに成功。今週の「もっとホークス」では、ダイエー、ソフトバンクで外野手として活躍した西日本スポーツ評論家の柴原洋氏に、ここまでのソフトバンクの戦いぶりや26日に始まる後半戦のポイントについて語ってもらった。

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 ソフトバンクは前半戦を55勝29敗3分けの貯金26で首位ターンし、2位ロッテとは10ゲーム差。小久保監督が「(目標に)一番近い位置にいる認識」とした通り、十分な出来と言える。好成績の一番の理由は投手陣、特に先発陣がしっかり試合をつくったことだ。

 先発陣は救援から転向したモイネロ、大津が活躍するなど、配置転換を含めたやりくりがうまくいった。小久保監督が信頼を寄せる倉野投手コーチが選手の調子や疲労度もしっかり把握した上で、登板間隔を調整しながら先発ローテを巧みに回した成果だろう。

 有原ら力のある投手にカード初戦を託し、しっかり勝てたことも大きい。昨季はなかなかカード初戦を勝てず、7月に12連敗もあった。今季は安定感抜群の有原に加え、大津やスチュワートの存在もあり、大型連敗は考えにくい。先発陣の安定感は一番の強みだ。

 小久保監督のベンチワークも際立った。絶対に山川を4番から外さない「頑固さ」がある一方で、選手起用の「柔軟さ」も出てきたと感じる。優勝を目指すのは当然だが、若手育成のために我慢しながら経験を積ませていた。若手もそれに応えようと必死だった。

 選手起用や采配が「ぶれない」から、ベンチの意思疎通もできて信頼関係も生まれる。目先の勝利にとらわれていないから、選手にも任されているという自覚が芽生える。王球団会長の薫陶を受け、成績が上がらない時期も4番を任され続けた小久保監督らしい。

 7勝9敗とやや失速した7月は、他球団が左の先発を続けざまにぶつけてきたことが話題になったが、これはそんなに心配しなくてもいい。負けが込んだ時期は、打線が全体に状態を落としたからで、前半戦最後の西武戦では武内を攻略し、隅田にも黒星をつけた。

 球宴明けの後半戦をどう戦うべきか。極論すれば、残り56試合を勝率5割でいっても、83勝で優勝ラインに近い成績になる。ただ、ペナントレースは何が起こるか分からない。前半戦と同様に2勝1敗のペースを目指し、下位に取りこぼさないことが必要だろう。

 先発陣が安定しているだけに、鍵を握るのは得点力だ。柳田が故障離脱しながらも6月の1試合平均得点は4.78点だったが、7月は2.69点に低下。三冠王を狙える打撃成績を残してきた5番近藤が月間打率1割台に低迷したのも響いたが「近藤ありき」の打線のままではいけない。

 不振が続く4番山川は体の開きを抑え、ポイントを前にしてハンドリングの良さを発揮すれば、本塁打も増えると思う。もう一つのポイントは近藤の後を打つ6番。正木が7打数連続安打を放つなど、ようやく期待に応えつつある。柳町もいい働きをしている。これはチームにとって大きい。

 周東がどこまで打率と出塁率を上げられるかにも注目したい。既に32盗塁をマークしている彼が1番にはまり、打率2割8分、出塁率3割5分以上にできれば、60盗塁も狙える。彼が塁上をかき回せば、中軸が得点圏で勝負できる。相手バッテリーへのプレッシャーも大きく変わってくる。

 一番心配なのはオスナの状態。5日の出場選手登録抹消後は松本裕が抑えを務めているが、やはり9回の重圧は違う。1試合の重みが増す後半戦は、オスナの名前と経験値はより大事になる。守護神の復帰時期と投球内容を注視したい。(西日本スポーツ評論家)

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