ロコモ、要支援・要介護の原因1位 ~兆候に気付く、ロコトレが大切~

AI要約

日本整形外科学会が2026年の創立100周年に向け、ロコモティブシンドローム(ロコモ)の啓発に力を入れている。

ロコモは、立ったり、歩いたりする時に働く運動器の障害で移動機能が低下した総合的な状態を指す。

要支援・要介護となる原因で、運動器障害はトップの約4分の1を占める。

年を取ると、足腰が弱くなるとは考えられがちだが、個人によって個人差が大きい。

集団で平均を取った場合と、個人の足腰の力の低下に注目した研究が存在する。

ロコモの評価法には、2ステップテスト、立ち上がりテスト、「ロコモ25」の三つがあり、それぞれ特定の状態を表す。

ロコモ、要支援・要介護の原因1位 ~兆候に気付く、ロコトレが大切~

 日本整形外科学会が2026年の創立100周年に向け、ロコモティブシンドローム(ロコモ)の啓発に力を入れている。ロコモは、立ったり、歩いたりする時に働く運動器の障害で移動機能が低下した総合的な状態を指す。要支援・要介護となる原因で、運動器障害はトップの約4分の1を占める。「速く歩けない」「階段の上り下りがきつい」といった兆候に注意し、日常でできるロコモトレーニングの実践などを呼び掛けている。

 年を取ると、足腰が弱くなる。「それは当たり前ではないか」と考える人は多い。ロコモを研究テーマとしている埼玉県立大学保健医療福祉学部の山田恵子准教授は「加齢で足腰が弱くなるのは確かだが、人によって個人差が大きい」と言う。それは集団で平均を取った場合と、個人の足腰の力の低下に注目した場合の研究が裏付けている。

 ロコモの評価法には、2ステップテスト、立ち上がりテスト、「ロコモ25」の三つがある。ロコモ度1は移動機能の低下が始まっている状態、ロコモ度2は移動機能の低下が進行している状態、ロコモ度3は自立した生活ができなくなるリスクが非常に高く、社会参加に支障を来している状態を指す。

 2ステップテストは歩幅を調べるテストで、次のように行う。①スタートラインに両足の爪先を合わせて立つ②できる限り大股で2歩歩き、両足をそろえる③スタートラインから着地点の爪先までの長さを測る(2回行い、良かった方を採用)④2歩幅(センチ)÷身長(センチ)の計算式で2ステップ値を算出する―。1.3以上はロコモではなく、1.1以上~1.3未満がロコモ度1となる。0.9以上~1.1未満がロコモ度2、0.9未満はロコモ度3だ。

 立ち上がりテストは下肢の筋力を調べる。10センチ、20センチ、30センチ、40センチの高さの台から反動をつけずに立ち上がる。両脚および片脚で行う。片脚で40センチの台から立ち上がれないが、両脚で、20センチの台から立ち上がれるのがロコモ度1。両脚で20センチの台から立ち上がれないが、30センチの台からは立ち上がれるのがロコモ度2、両脚で30センチの台から立ち上がれないのがロコモ度3だ。

 ロコモ25は25の質問に答えてもらい、痛みなど身体の状態や普段の生活状況を調べる。質問ごとに五つの選択肢があり、それぞれ0~4点が配点されている。合計は100点で点数が低いほど良好な状態であり、24点以上がロコモ度3となる。山田准教授はロコモ25の特徴について「質問に『痛み』が含まれている。変化を捉えるために五つの段階を設けている」と話す。