ホモ・ネアンデルターレンシスからに受け継いだのか…ホモ・サピエンスの生存能力と、「もう一つの人類」の存在

AI要約

地球の歴史とホモ・サピエンスの進化を紹介。

ホモ・ネアンデルターレンシスの特徴と適応について述べる。

ホモ・ネアンデルターレンシスとホモ・サピエンスの類似点と違い。

ホモ・ネアンデルターレンシスからに受け継いだのか…ホモ・サピエンスの生存能力と、「もう一つの人類」の存在

長い長い進化の中で、私たちの祖先は、何を得て、何を失い、何と別れてきたのかーー

約46億年と言われる地球の歴史において、生命の誕生は、遅くとも約39億5000万年前と言われています。そして、最初の人類が登場するのは、約700万年前。長い地球の歴史から見れば、“ごく最近”です。

しかし、そのホモ・サピエンスも、突如として誕生したわけではありません。初期生命から現在へと連綿と続く進化の果てに、生まれたのです。私たち「ホモ・サピエンス」という一つの種に絞って、その歴史をたどってみたら、どのような道程が見えてくるでしょうか。そんな道のりを、【70の道標(みちしるべ)】に注目して紡いだ、壮大な物語です。

この『サピエンス前史』に綴られる、70の道標から、とくに注目したい「読みどころ」をご紹介して、好評博したシリーズ。歯も顎ももたないサカナから、「類人猿」の登場までの長い道のりを辿ってきました。今回は、ホモ・サピエンスにも遺伝子を伝えたとされるホモ・ネアンデルターレンシスについての解説をお届けします。

*本記事は、『サピエンス前史 脊椎動物から人類に至る5億年の物語』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。

前回の記事でご紹介した「ホモ・エレクトス」を祖先として、登場した2種の大きな“成功者”。その一つが、「ホモ・ネアンデルターレンシス(Homo neanderthalensis)」である。

身長は約1.52~1.68メートル、脳容積は約1200~1750立方センチメートルとなっており、ホモ・サピエンスとほぼ同等の体格と脳容積だ。

ただし、ホモ・ネアンデルターレンシスはより筋肉質で、前腕と脛(すね)が短いという特徴がある。この特徴は、ハーバード大学(アメリカ)のダニエル・E・リーバーマンの著書である『人体600万年史』(2015年、早川書房)によると、寒冷な気候に適応したものであるという。短い前腕と脛は、結果として体表面積を縮小させることにつながる。体表面積が小さいということは、それだけ体内の熱を逃がしにくいのだ。